彼は俺の枷
- カテゴリ:自作小説
- 2015/09/12 00:51:24
青さんの過去提造
Side*Sou*
あの笑顔が大好きで、大好きでしかたがなかった。
幼等部の頃からずっと一緒だった。
毎年、一緒に誕生日のお祝いをした。
これからもずっと一緒にやろうって
これからもずっと一緒にいようって
約束した。
なのに・・・・・
なのに、何で彼は死んでしまったのだろうか。
俺の前から消えてしまった。
笑顔も声も、命さえも一瞬で。
一瞬で何もかもがなくなった。
高等部にあがる1年前の9月11日、雨の日のことだった。
何であなたは死んでしまったの?
と問いただしても誰も答えてくれる人がいないことくらいわかっていたからだ。
来年は俺の誕生日を祝ってくれる人も、楽しみを分かち合う人もいないんだと思うと少しばかり寂しいなと思ったりもした。
だけど、なぜか涙なんかこぼれなかった。
あの日から2年という月日が流れて、俺は優等生を演じ、風紀委員長にまでなっていた。
俺はあの日から逃げるように、人を避けていた。
なのに
なのに、あいつは俺の邪魔ばかりしてくるのだろうか。
赤髪が特徴的な神生アキラ。
こいつは校則違反ばかりする上になぜだか俺に必要以上に絡んでくる。
正直言ってすごく鬱陶しい。
「なぁ泉ー」
「・・・・」
「なぁー」
「・・・・」
「泉ー?
泉ってばー」
「もううるさい人ですね
なんですか?」
毎日、顔を合わせるたびにこんな会話とは程遠いような会話を繰り返していた。
ある日、3年の榊原先輩と1年のこれまた風紀違反の多い朴ウィトの二人が俺たちの教室に来ていた。
「アキラ先輩ー!
お願いしますよ、ダンス部つくりましょーよー!!」
すると奴はくるりと向きを変え、俺のほうを向いた。
「泉がやるなら、俺もやる。
何か泉がぜーぜー言ってるとこ見てみたいし!」
ぷっぷーと笑いながら言ってくる神生にいらっとする。
「何でおれがそのようなことをしなければいけないのですか?」
「えーなになに?
泉ってダンスできないのー?
だっせー!」
などとほざいてきた。
「俺ができないとでも?
やってやろうじゃないですか。」
あぁ、やってしまった。
ダンスはもう二度とやらないと決めていたのに。
俺はまた後悔していた。
彼は苛立ちによって自分で決めたルールを破った俺を許してくれるだろうか。
それから瞬く間に1日1日がすぎていった。
「そういえば、もう9月だね~
早いね~・・・」
タツキ先輩がいつもどおりのほわほわした表情で言った。
「そうですね~・・・
寒くなると朝起きれなくなるのが嫌ですね!!」
朴がぎゃーぎゃーと騒ぎ出す。
「それはアキラと朴だけだろ?」
先生が朴をからかい始める。
「せんせーうるさいよ
泉の誕生日も近くなってきたよなー」
アキラが俺に話を振る。
何してお祝いしようかと考えてる4人を見つける。
「申し訳ないですが、お祝いは結構・・・です」
俺が言うとみんなは残念そうな顔をした。
「そっか。。。。
分かった、また今度祝わせろよな!」
アキラはそういって笑ってくれた。
何も聞かないでいてくれるのがすごく俺にとっては支えになった。
そして、そのときの俺は気付いてなかったんだ。
部屋の隅でタツキ先輩が辛そうな顔をしていたことに。
それから何日かが過ぎて今日はとうとう俺の誕生日だ。
彼が死んでしまった日でもある。
みんなには放って置いてと言ってあるから大丈夫だろう。
などとかんがえながら俺は服を着替える。
金曜日だから授業があるが俺は気にしない。
きちんと学校には話を通してある。
今日は幼馴染の命日だから墓参りに行く予定だ。
準備が終わって寮を出る。
時間が少し遅いためか寮に人はいなかった。
彼の墓石の前に座って話を始める。
「久しぶり・・・だな。
俺さ、お前が死んでからダンスはお前としたいからしないって決めてたのにさ。
神生アキラってやつにまんまとのせられてダンス部に入っちゃったんだよな。
俺、決めたのにやりとげらんなかった。
ごめんな・・・。
あぁ、ダメだ。
泣きそう」
などとしばらく彼に話しかける。
日が傾き始めた頃、俺はゆっくりと立ち上がった。
「じゃあ、今日はそろそろ帰るな。
いつもみたいに夜までいられなくて悪い・・・」
そういって俺はその場を立ち去った。
寮につく頃にはすっかり日も暮れていた。
人居ないなーなんて考えながら自室のドアを開ける。
「誕生日おめでとう!!」
電気をつけると同時に聞こえた声とクラッカーの音。
「どう?
驚いた?」
などとドヤ顔してるやつもいた。
「・・・・ありがとうございます。
ですが、俺は結構ですと断ったはずです」
俺が言葉を返すとタツキ先輩がうつむいた。
「あの、ね・・・・
奏君の誕生日お祝いしよって言ったの僕なの
どうしても、今日奏君に渡したいものがあったかから」
タツキ先輩はそういうとかばんの中を少し漁って黄ばみかかった1通の手紙を取り出した。
「これは・・・・?」
「これはね、彼が亡くなる少し前に僕に預けた奏君宛ての手紙だよ。
奏君が思い詰めた感じのときに渡してくれって頼まれてたの」
手紙を受け取り封を開ける。
奏へ
奏がこの手紙を読んでるってことは僕はもうこの世には居なくて、奏が思い詰めてるってことでしょう。
奏に僕の病気のことを話さなかったのは心配を掛けたくなかったから。
黙っててごめんな。
奏が思い詰めてる理由は僕のことでしょうか。
もし、僕のことだったとしたら気にしないでください。
僕は奏のこと大切なやつだと思ってるから、だから、自分のやりたいことをやりたいようにやってすごしてね。
僕は奏が自分の好きなことをやってるところを見るのが大好きだから。
何があっても僕は奏の味方だし、ずっとずっと応援してる。
彼の手紙はそこで終わっていた。
あいつはこんなことを思っていてくれたのか?
ぽろぽろと涙がこぼれた。
「泉」
「奏先輩」
「奏」
「奏君」
「「「「誕生日おめでとう!」」」」
「・・・・ありがとうございます」
涙を拭いながら笑って見せるとみんなも笑いかけてくれた。
俺は彼の分まで楽しい人生を送るんだ。
END
何か良く分からん。
奏君!1時間過ぎちゃったけど9月11日誕生日おめでとう!!
リリイベの時も僕のほうを向いてわざわざ笑いかけてくれたよね!!
周りに目を向けて対応できる奏くんが大好きです!
死んだ彼のことを思い続ける奏くんとかただの天使!ww
おめっと奏くん!
いつまでも大好きですよ!