風に吹かれて
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/09/17 13:13:30
聞きたかったのに
最後にもう一度だけ
でもそれはいけないことだったの
私の我儘だったの
さよならが最後の言葉なんて悲しすぎる
いくつものさよならを越えて
出会った二人がこうして
またさよならに出会うなんて
そんな運命のいたずらだったの
涙の重さを知っていたの
あなたを求める人が私じゃなかったの
私はあなたの求める人じゃなかったの
赤い糸が混ざり合って行く末が分からなくなって
間違いの糸を引いたのか
糸がぷつりと切れて行く
津なぎあわせたかった
でもできなかった
宙に浮いたいとはもう
誰もつなぎ止めることができなかったのか
風に吹かれて漂うばかりなのか
一つの出会いがあって
それが真実のものと思っていた
心を注いでつきつめて
でもそれが間違いだったその時に
人は何を信じるのだろうか
もう言葉さえも交わせない
うつろになった二人の間には
木枯らしが急いで拭いて来ようとして
足元を冷たく過ぎ去っていく
その足取りを止めようとしている
愛したかった二人
愛されたかった二人
でも別れて行く二人
さようならを聞きたかった
私は言えなかったけれど