僕は救われました。
- カテゴリ:自作小説
- 2015/09/18 16:13:44
シリーズです。
何回かこんな感じのネタが続く予定
Side*Tatsuki*
僕が救われたときの話をしようか。
僕の耳は音を聞き取ることができない。
昔から音が聞こえにくかった。
それだけでも、すごく不自由だった。
なのに、神様はそれでは気がすまなかったようで、僕の残った聴力を全て奪っていってしまった。
念のためにと幼い頃から手話や指文字の練習はしていた。
それを、こんなにもすぐに使う羽目になってしまうなんて思わなかった。
あの日から声を出すこともできなくなった。
声が出せなくなった日の朝、お父さんとお母さんが僕の通っている学校に事情を話しに言った。
昔からこうなるかもしれないということを話していたため学校の先生方は納得してくれたらしい。
お父さんから手話で聞いたのはそれだけだった。
次の日、学校に行くとクラスのみんなが手話でおはようって挨拶をしてくれた。
みんなの優しさがにじみ出ていた。
みんなが僕に優しく笑いかけてくれるから僕もみんなに笑い返す。
【ありがとう】
って伝えながら。
午後からは部活だった。
みんな何気なく僕を気遣ってくれた。
奏君は口を動かしながら手話を使って話してくれたし、先生はいつもどおりセクハラまがいのことをしながらいっぱい手話で話しかけてくれた。
あきらっちょとぱっくんは手話が使えないからか文字に表してから声に出してそれを説明してくれた。
でも、その優しさが僕を遠ざけているように感じてしまって。
みんながそんなことを考えてないのは分かってる。
だけど、どうしてもそんな嫌な考えが頭をよぎってしてしまう。
僕は・・・・僕は悪い子だ。
【ごめんね】
無意識に手話で謝っていた。
「タツキ?
どうかしたのか?」
僕の肩を叩いて、そう聞いてくれる先生。
【違うよ、なんでもない】
と返すと先生はそっかと言って僕の頭を撫でてくれた。
本当にごめんなさい。
僕は心の中でずっと呟いていた。
ずっと前からいつかはこうなるって、迷惑かけるって分かってたからこんちゃん意外とお友達にならなかったのに。
なのに、なのになんで僕はみんなに大変な思いをさせるって分かってて友達になってしまったんだろう。
何で、部活を作ってしまったのだろう。
そんな悪い考えは1度はじめてしまうととまらなくなる。
次の日から僕は学校を拒むようになり、やがて行かなくなった。
そんなある日、先生が僕の家にやってきた。
「タツキ、さしぶりだな」
【うん、お久しぶりです】
「・・・・いきなりなんだけど、タツキが学校来なくなった理由ってさ、
耳が聞こえなくなったせいで皆に迷惑かけてるって思ったからじゃない?」
さすが先生・・・。
何でもお見通しなんだな・・・・。
【うん、そうだよ。
僕の耳が聞こえないからみんなにたくさん迷惑かけたし、これからもたくさん迷惑かけちゃうと思ったから】
「・・・やっぱりな。
迷惑くらいたくさんかけろ。
タツキがいつもがんばってるのも、たくさん辛い思いしたのも、何回も泣いたのも、みんなに心配かけないようにって無理してるのも、ちゃんとみんなわかってるよ
アキラや朴は泉に教えてもらって必死で手話の練習してるんだぞ?
だから、」
先生の言葉は一度そこで途切れた。
「だから、俺たちを、俺をもっと頼ってくれよ。」
先生はそういって僕のことを抱き寄せた。
先生の吐息が耳にかかってくすぐったい。
この先生の腕が好き。
この先生の暖かさが好き。
先生の自由さが好き。
先生のことが、先生のことが僕は・・・・・。
「す・・・き・・・・」
声が出たんだと思う。
耳が聞こえなくなった今は喉元に感覚を感じるだけだった。
先生は僕の肩をぐっと掴んで驚いた表情をした。
【声、出てた?】
僕が尋ねると先生はぶんぶんと首を縦に振った。
「出てたよ!
出てた!!」
先生は一呼吸置くと僕のほうを見直した。
「俺もタツキのことが好きだ。
生徒としてだけじゃなくて、榊原タツキっていう一人の人間が好きだ。
辛いことも、悲しいことも、悩んでることも全部知りたいって思うし、何でも話してほしい。」
先生の言葉は僕に響き渡った。
「タツキ、俺と付き合ってください。」
体中の体温が上がった気がした。
顔がとくに熱い。
【僕でよけれお願いします】
そう、返事した日のことを僕は何一つとして後悔していない。
たくさんの悩みや問題を2人で解決してきた。
今ではあきらっちょとぱっくんとも手話でお話できるようになった。
でも、何より僕はあの時先生に想いを伝えることができたのが何より嬉しかった。
前を歩く先生の肩をぽんぽんと叩く。
「どうした?」
と、先生は振り返った。
【先生、僕を救ってくれてありがとう】
【僕はずっとずっとこれからも先生のことが大好きです】
笑顔でそういうと、どこからか暖かな風を感じた。
いい話書くなb
手話で話するのってなんかいい
手話覚えたいなぁ…←
タツキっくと先生が付き合うのってさ、凄く可愛いなって思う((
こーいうの好き!笑