Nicotto Town


みっちょん恋愛の詩


背中


暗い車の中でかける曲は
あなたの好きなスロージャズ
いつも聞いていた あなたの横で
夜に滑り込むあなたの車


その先には何が待っているんだろう
私もあなたも知らなかった
ただ時々照らす対向車のヘッドライトだけが
後ろに向かうのを知っていただけ
何も考えずに走るに走る私達だけだった


飛んで行く空気に
昨日と言う名の日を飛ばして
窓からは行ってくる空気に
今日と言う日を迎えて
その接点はたった1秒にすぎない


車を止めて道筋で
ポットで持ってきたホットコーヒー
口にしては夜闇の空気を吸う
私の横にいても
あなたは何も言わない


何か伝えて欲しかったんじゃない
ただこの時がいとおしかっただけ
いつまでも続いて欲しかっただけ
朝が来るのが怖かっただけ
あなたの背を抱き締めたかっただけ


スロージャズを聞きながら
そんな夜を思い出す
あなたは今頃どこを走っているんだろう
まだ一人きりでいるんだろうか
私達は別れてしまったけれど

キャンドルの炎が消えて行く
静かな夜がこの部屋を埋めて行く
あなたの背中はまだ
かたくなな心を拒んでいるのか
人恋しさを知っているのは私だけかもしれない




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