中国、米軍艦の航行を強く非難 南シナ海の人工島
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- 2015/10/29 20:13:01
(CNN) 米海軍の駆逐艦が南シナ海で中国の人工島から12カイリ(約22キロ)内の海域を航行したことを受け、中国側の当局者らは強い態度でこれに反発した。
中国の崔天凱(ツイティエンカイ)駐米大使は27日、CNNとのインタビューで、米国の行動は「政治、軍事の両面において極めて深刻な挑発」だと非難した。
さらに「自国の軍艦を頻繁に派遣しておきながら、他国に向かって地域情勢を軍事化するなと頼むのは非常にばかげた、偽善的な姿勢だ」と不快感をあらわにした。
また中国国防省は「米軍艦の動きは我が国の主権と安全保障上の国益を脅かし、岩礁の人員を危険にさらした」と主張した。
同省によると、米軍艦の航行に対して中国の軍艦2隻などが監視に当たり、警告を発したという。
一方、米国のカーター国防長官は議会上院の公聴会で、同様の航行作戦を今後も継続すると表明。「我々は国際法で認められ、作戦上必要とされる場所にはどこへでも飛行、航行し活動する」と改めて宣言した。
こうした姿勢に対し、中国外務省の報道官は「我々が自国の領内で行う合理的で正当、合法的な活動について、どこかの国が干渉したり妨害したりできると考えているなら、そのような幻想は捨てることを勧める」「関係国が強引に地域情勢を緊張させ、わざわざ問題を起こそうとするなら、中国は関連能力の強化を急がざるを得なくなるかもしれない。米国にはこのような自業自得を避けるよう忠告する」と語った。
中国軍の報道官もまた、米国の行動を「航行の自由の乱用」と呼んで批判し、それによって中国の領有権や安全、地域の安定が脅かされたとの認識を示した。
ただ南シナ海での中国の振る舞いに警戒心を抱いてきた周辺諸国は、米国の動きを歓迎しているようだ。
オーストラリアは、全ての国に南シナ海を航行する権利があるとの立場を「強く支持する」と表明した。
台湾は南沙(スプラトリー)諸島における中国の領有権を改めて否定し、平和的解決へ向けた対話を呼び掛けている。
今後の展開について、デニス・ブレア元米太平洋軍司令官はCNNに、事態がさらに悪化するとの懸念は抱いていないと述べた。ブレア氏によれば「中国も米国も、この問題が相手との紛争レベルを上げる理由にはなり得ないことを認識している」という。
http://www.cnn.co.jp/world/35072640.html