愛の証
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/11/25 09:49:52
薬指に光るリング
それはあなたの愛の結晶だったのに
今外してみると
白い跡が残るだけ
二人の愛の幻想のように
小さなそれを覗いてみても
小さな恋が映るだけ
でもそれでも二人にはよかった
それは永遠を物語っていたから
もう今となっては見えないけれど
あなたの好きな雨の季節
「雨が好きなんだ
何もかもを流してくれるようで」
そして流されていてしまった
それでよかったの この愛は
雨は知らんふりで
水たまりに何かを映しているけれど
何も映せなくなった鏡には
ただひびが入るだけで
時の流れも映せない
もう映せない季節なら
忘れてしまうがいい
あなたとの時間も何もかも
流しきってしまえばいい
あなたも あなたの愛も あなたの影も
私はここから歩いて行こう
雨が足元を汚しても
傘が雨音を響かせても
前を向いて歩いて行こう
それだけが行き先を示すのだから
でももう少しだけここにいさせて
ここであなたを想わせて
それが二人の愛の証
だからそれが色あせるまで
白い跡が消えるまで待って