すれ違いの飛行場
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/12/04 12:21:31
あなたの乗るはずだった飛行機の時間に
わざと遅れて行った
ここに来たのは見送りなんかじゃない
そう言い聞かせながら
雑踏の中で立ちつくす
今頃どこを飛んでいるのだろう
窓からの景色はどうだろう
なにを思っているのだろう
なす術もなかった二人のことか
私の愛はあなたは知らない
新天地への不安と
新鮮さの中で あなたは
きっと新しい生活になじんで行く
今のこの地など忘れたように
信じたくはないけれど
知っていた僕は
君がわざと遅れてきたことを
そっと見守っていた
彼を好きだということも
飛ばしたいその暖かい心も
今君の心の中に
僕は入ることはできない
まだ彼を愛しているだろう
彼が気付かなかっただけで
痛みを抱えているのだろう
言いたいけど言えない
いつまでもこの繰り返し
繋がることがあるとしても
僕にはそれが信じられない
怖がっているだけの二人だから