妻をたずねて三千里
- カテゴリ:日記
- 2015/12/05 10:55:48
日の鳥
こうの史代
日本文芸社
行方不明になった妻を探し、東日本(というか東北地方)を訪ね歩く一羽の雄鶏。
なんとなく妻がいる気がしたから、というのと、雄鶏の本能として、どうしても"東"に惹かれてしまうらしい。
・・・という体で、著者が訪れた東日本大震災の被災地の様子がイラストで描かれる。
震災から五ヵ月後の釜石・大槌から始まり、二年半後の鹿角・盛岡まで。(一部、東京も)
震災の傷跡も生々しいイラストもあるが、雄鶏のとぼけたモノローグで、オブラートに包まれている。
ニュースで数多く報道された光景もあるが、著者らしく、ほとんどは日常の風景。
月日が経つに従って、「傷跡」のイラストは少なくなっていくが、それは、復興が進んでいるからというという訳ではない。
震災から2年後の仮設住宅のイラストがあるが、なんとなく「住み慣れた」感が感じられてしまう。
そして、今も仮設住宅に住んでいる人は、まだまだいる、という事実。
「復興は終わってなどいない」
という事を、あらためて思い知らされる。
ちなみに、雄鶏の妻の人柄・・・いや鳥柄、同音異義語に問題があるので、「為人(ひととなり)」ならぬ「為鳥(とりとなり)」は・・・。
「そのむかし
夜空を走る鉄道を見た人がいたという
列車には亡くなった者を乗せているという
妻を思うと胸が騒ぐ
妻が、もしかしたら妻が・・・
たたき落としたりしないかと・・・」
その他、デコボコになった歩道や、曲がった鉄柱を見る度に、妻の仕業かと心配したりするので、かなりの「武闘派」らしい。
再会できない方がいいのではないか、という気さえする。
「マイルストーン」には、なるかもしれないですが。
人離れ・・・いや、鳥離れした能力の持ち主のようです。
ササッと読むだけなら、30分とかからないですが、イラストもじっくり見ると、それなりに時間がかかってしまいます・・・。
>カトリーヌさん
ビル工事用のクレーンや、白鳥型の遊覧船を妻と勘違いするシーンもあるので、体格もかなりいいようです。
ギャオスもあながち間違いでないかもしれません。
空を走る銀河鉄道を叩き落とすとは・・・ギャオスさん?
amazonでチェックしてみたらちと気になったので、
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