サウジアラビア、イランと断交
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- 2016/01/04 19:53:44
【カイロ=溝田拓士、テヘラン=中西賢司】サウジアラビアのジュベイル外相は3日、首都リヤドで記者会見し、イランとの外交関係を断絶すると発表した。
イスラム教スンニ派の盟主であるサウジがシーア派の法学者を処刑したことに抗議し、シーア派の大国であるイランの首都テヘランのサウジ大使館が暴徒に襲撃されたことへの対抗措置としている。中東の両大国の関係悪化は、米欧などが結束を呼びかけるイスラム過激派組織「イスラム国」の掃討やシリア内戦解決に深刻な影響を及ぼしそうだ。
サウジは2日、国内でのテロに関与したとして、47人の死刑執行を発表。この中に、サウジ王室を批判し、サウジ国内のシーア派に強い影響力を持っていた法学者のニムル師が含まれていた。これにイランが反発し、在イランのサウジ大使館前で2日から3日未明にかけ、抗議デモの一部が暴徒化し、大使館の敷地内に侵入して火を放つなどした。
http://www.yomiuri.co.jp/world/20160104-OYT1T50000.html
ニムル・バキル・アル・ニムルはイスラム教シーア派教徒で、サウジ東部のアワミヤという小さな町で育ち、イランで宗教教育を受けたあと、1990年代初頭にサウジに戻った人物です。
サウジの支配者層を批判する激烈な説教で知られ、2003年から08年までの間、何度か投獄された経緯があり、ウィキリークスによって公開された当時の米国公電は、同師について「二線級の政治活動家」と表現し、「地元で人気を博し、とりわけ若者たちに人気がある」と書かれていた中東民主化運動の中心人物と見られる人物でした。
サウジにおける宗教的少数派であるシーア派信徒の権利擁護者であり、平等を求め憲法改革を求め、隣国バーレーンでのデモに触発されたシーア派による反政府デモが起きた際は、デモ隊への支持を表明しデモの拡大に大きな役割を果たしました。
今回の措置に対してイランは「サウジはあえて死刑執行という一線を越えた。しかもアルカイダのテロリストと同列に扱うような表現を用いて侮辱することで、傷口を広げた」と声明を発表しています。