我儘
- カテゴリ:小説/詩
- 2016/01/18 09:06:57
泣きはらだれもした目を
誰にも見せたくなかった
だから昨日は泣きたくなかった
また1週間が始まる
二人で見ることもない鏡の前で
ネクタイが曲がっているとか
寝ぐせの髪が立っているとか
遅刻しそうな時間が迫っているとか
そんな日が続いたのに
もう誰もいないような部屋
何でも知っていると思っていたのに
これだけは分からなかった
心が少しずつ離れて行った
そんな事はどうでもいいけど
嘘で固めたくはなかった
アパートを変えて
二人住んだ部屋に別れを告げて
新しい空間にまだ慣れなくて
でもそのうち慣れて行くのだろう
一人きりのその空間に
すべてを捨て去ってきたつもりでも
捨てきれないものが多すぎた
形はもうなくても
心の中がうずもれている
思い出も面影もそのぬくもりも
なくなってしまった恋ならば
もう追いつくことはできない
愛していたのは本当だった
でも重荷になっていたのだろうか
そんなつもりじゃなかったのに
真冬の都会に雪が降る
そっとそっと歩いて行く
それはあなたの背中への
歩き方に似ていた
そっとそっとそっと
もう見ることはないだろう
夢の中にも出てこないだろう
一緒に撮った写真も
引き裂いてしまうだろう
そんな日がいつかはやって来る
抱きしめて
私のことを強く
そして別れの言葉を言って
それだけが心残り
もう触れられないあなたへの我儘
だめな大人になっちゃったw
ごめんなさい~(^^)