深夜のドライブ
- カテゴリ:小説/詩
- 2016/02/01 11:57:00
金曜日の夜になると
まだ思い出す夜のドライブ
あなたが部屋まで来ることはない
待ち合わせの時間まで私が待っている
たとえ寒い夜でも
そして滑るように走りだす
どこへ行くの
そんな言葉さえかけずに
真っ暗な道を走っていく
灯りは対向車のそれと点在する電柱だけ
前しか見ないあなた
言葉もなく 音楽もない
でもそんな空間が心にしみて
なによりの時間だった
都会の雑踏から逃げて
星達がきらめいている
まるで私たちを照らすように
かすかな光しかないけど
なぜかぬくもりを感じる
そう あなたがいるから
やがて深夜のカフェに車を止めて
コーヒーをくゆらす二人
カップの暖かさが体を溶かす
ここは一体どこなんだろう
そんな事さえどうでもいい
いつの間にか車は
Uターンしていて
また都会に戻っていく
明けない夜を超えて
静かに住処へと帰っていく
もうどの位経っただろうか
こんな夜がなくなってから
一人で滑らす事なとない
あなたがいなくなったから
もうそれは過去の事
暖かかったこの恋も
もう冷たくなっただろうか
今頃どこを走らせているの
心地よかったそのシートに
別れることを告げた夜から