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アフガン南部州都にタリバーン迫る、軍兵士寝返りも


カブール(CNN) 街から5キロも離れていない場所に、反政府勢力タリバーンの旗がはためく――。アフガニスタン南部ヘルマンド州の州都、ラシュカルガーに今、かつてないほどの危機が迫っている。
ヘルマンド州は戦略的要衝として知られ、北大西洋条約機構(NATO)が過去15年の支援任務で何百人もの死者を出した地域だ。アフガン当局は今後の支配、奪還作戦に自信を示すが、現地の住民らは強まる脅威に神経をとがらせている。
勢力を盛り返すタリバーン
ヘルマンド州の警察当局者が10日、匿名を条件にCNNに語ったところによると、同州では最近、政府軍の勢いが停滞し、少なくとも5つの地区がタリバーン支配下に入った。奪還を試みた軍部隊もタリバーンに撃退されている。
州都ラシュカルガーには現在、2方向から脅威が迫っているという。
専門家の間では、タリバーンの主な狙いはヘルマンド州で生産されるアヘンだとする見方が強い。同当局者もこれに同意し、タリバーンが最近1週間ほど影を潜めたのは、収穫期を迎えたアヘンの確保に集中していたからではないかと語った。

政府は危機を否定
しかしアフガン政府当局は、同州やラシュカルガーが陥落の危機に陥っているとの説を強く否定する。スタネクザイ国防相代行はCNNに「陥落はあり得ない。そんなことになったら私は辞任する」と述べた。
同氏は一方で「厳しい戦いであることは確かだ」と語り、パキスタン側から多数の戦闘員が流れ込んでいると批判。タリバーンが攻勢を強めてきた裏にはパキスタンからの支援があるとの見方を改めて示した。
「苦戦の1年だった」
ヘルマンド州で政府軍が苦戦していることについて、米当局者らは軍指導部の弱さが原因だったとの見方を示す。米軍作戦部長のブキャナン少将は「2015年は苦戦の1年だった。その責任の大半は指導部の責任だと思う」としたうえで、「新たに任命されたアフガン軍幹部は素晴らしい。まだ厳しい戦いが控えてはいるが、ラシュカルガーが陥落寸前との見方には全く同意できない」と断言した。
アフガンは夏に戦闘シーズンを迎える。昨年1年間に全国で多数の兵士を失った政府軍は、例年にも増して困難な戦いを強いられるだろう。米当局の推定では、昨年死亡したアフガン治安要員は5500人。NATOで10年間に死亡した計3500人をはるかに上回る人数となった。

タリバーンへの寝返り
政府軍の兵士が減っている原因は戦死だけではない。タリバーン側に寝返る兵士たちが続出しているのだ。
CNNはヘルマンド州で2人の脱走兵に取材した。2人ともアフガン政府軍で訓練を受けてから、その成果をタリバーンに持ち込んだケースだ。政府軍兵士への訓練には、米国の国家予算が使われている。
「軍で1年半訓練を受け、国のために戦うと宣誓したが、状況が変わった。軍に失望したのでタリバーンに入ることにした。タリバーンでは客人のような待遇を受けている」と、一方の兵士が話す。
2人は今も政府軍の制服や身分証明書、給料を引き出すのに使う銀行カードまで持っている。
「基地で亡くなったり負傷したりした同僚が放置され、病院へ運んでさえもらえないのを見て、軍を去る決心がついた。軍で受けた訓練はとても役に立っている。今はその知識を使ってタリバーンの戦闘員を訓練している」と、兵士は語る。
記録的な死傷者
アフガン民間人の死者は昨年1年だけで3500人以上、負傷者は7500人を記録した。
ほかの地域からラシュカルガーへ逃れてきた人々の経験談からは、アフガンで日々、人知れず起きている悲劇が垣間見える。

「最悪の記憶は、結婚パーティーの会場に迫撃砲が撃ち込まれ、多数の女性や子どもが亡くなった時のこと」と、ある男性が語る。「戦闘が激しくなると警官は去った。私は人けのない場所へ避難しろと言われたが、銃弾やロケット弾が追いかけてきて10人が死んだ。だからここまで逃げてきた」という。
タリバーンに制圧された町から買い物に訪れている男性もいた。この男性の話によると、町の中はタリバーンの支配下に入ってから以前より落ち着き、「かつてはだれもいなかった市場が今はにぎわっている」という。
だが政府当局は、ヘルマンド州での形勢を今後数カ月のうちに逆転したい方針だ。スタネクザイ国防相代行は「問題なのは戦場がどうなっているかではなく、政治的な将来像が国民の信頼を得られるかという点だ。信頼感の醸成に向けて努力する必要がある」「我々はこの国を守らなければならない」と強調した。
新兵を狙った爆弾テロも
そんななか、東部ナンガルハル州の州都ジャララバードでは11日、政府軍の新兵を乗せて首都カブールへ向かっていたバスに爆発物を積んだ三輪オートバイが激突。国防省の報道官によると12人が死亡した。さらに少なくとも38人の負傷者が報告されている。

http://www.cnn.co.jp/world/35081039.html

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