パンブレ爺さんの話
- カテゴリ:小説/詩
- 2016/04/24 22:00:50
フランスの下町に、時折やってきて椅子や家具の修繕をする爺さんがいたそうです。
「まさか!」という意味のフランス語が縮まって『パン・ブレ爺さん』と呼ばれていたそうな。
面白い話をしてくれるので、近所の子供はいつもお菓子片手に集まってきます。
ある日、爺さんが始めたのはこんな話でした。
ド・レエ伯爵の一人息子フィリップは、父が怖くて乳母と乳姉妹のマリーにベッタリ。
とくに取り柄もなく、なぜか木を削るのが好きだった。
厳しい父に馴染めず、フィリップは城を出てマリーと駆け落ち、大工の真似事で暮らす。
だがマリーは娘を産んだ後に他界、愛娘も流行り病で5歳で世を去ってしまいます。
生きる屍となった彼は、妻と娘の写真だけを傍らに、炭鉱夫として30年暮らしました。
フィリップの出奔後、父は酒乱の暴君となり、城は伯爵の死後、荒れ果ててしまいます。
ある日フィリップは、生家の城が二束三文で売りに出ているのを知りました。
せめてもの慰めにと、なけなしの金をはたいて城を買い、彼は城の持ち主となりました。
時々修繕の金を送るだけで、一度も帰らないフィリップ。
地元の人は、フィリップ坊ちゃまがいつお帰りになるかと噂をしあいます。
……パンブレ爺さんは唐突に話を止め、またねと子供たちに言い残して去りました。
しばらく後、ド・レエ伯爵の城の一隅から大変な財宝が出たというニュースが。
世間はフィリップ坊ちゃまを血眼で探し……遂にパンブレ爺さんを探し当てた。
だが彼はその時すでに、この世の人ではなかったということでした。
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以上の話は伯母の形見、田付たつ子の『パリの俄雨(ジブレ)』からの引用です。
私がフランスにかぶれるきっかけとなった一冊。昭和32年発行の新書です。
雨が降ると読みたくなる。いい話ばかり。現在全く知られていないのが少々残念。
あてた物語です。
サーカス一座にいて土地を転々する少女 その回りに出没する吟遊詩人(老人)
彼女の身の上を気の毒に思い身請けする青年・・・
南の国にあこがれる彼女は 密かに慕う恩人の青年とその恋人の姿をみて
ショックで命を落としてしまいます。
彼女の葬儀の時に、謎だらけの出生の秘密が明らかになる・・・。 みたいなお話です。
ユースケさんは何でもご存じだとおもって 暴走してしまいました。
失礼しました。m(__)m
似たお話がきっとたくさんあるんでしょうか。そのお話は読んだ記憶がありません。
ヨーロッパが舞台になってると、なにか凄く素敵なお話に感じるのです。
古書独特の饐えた紙の匂いもあって、全てがセピア色なのです。
大好きなお話で 今でも手許にあります。 (児童書で田中澄江さんの訳)
大人になって 読み返して驚いたこと。
大きな活字 とてもやさしい文章でかかれてるにも係わらず
細やかな 情景 感情 が とても瑞々しく迫ってくること。
訳者のかた きっとご高名なかたに違いない と思っております。
情報ありがとうございます♪
後ほど確認してみます!
『日本の古本屋』サイトで検索しましたら、
4冊セットで2700円、送料300円というのを発見しました。
茨城県の古書店のようです。いちおうお知らせまで。
大日本雄弁会講談社 ミリオンブックスから、田付たつ子の著書は4冊出ております。
『パリの俄雨』『パリの甃(いしだたみ)』『パリの雀(モアノ)』『パリの残雪』。
一推しはジブレ、次いで甃、雀でしょうか。田付たつ子は吉田茂にフランス語を教えたという逸話あり。
初めまして。コメントありがとうございます。
フランスの小噺にはこういうのがたくさんありまして、
たいへん贔屓しております。
うーん、どうしようか・・・