米軍、欧州MD計画で初のミサイル稼働 ロシア反発
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- 2016/05/22 01:56:13
(CNN) 米軍は19日までに、北大西洋条約機構(NATO)のミサイル防衛(MD)システムの一環としてルーマニアで地上配備型の迎撃ミサイルの稼働を開始した。欧州での同ミサイルの運用開始は、米国が約10年前にMD計画を発表してから初めて。
米国は同計画の狙いはイランなどからのミサイル攻撃の阻止と長年主張しているが、ロシアは自国の核戦略を無力化する意図を疑い、反発している。NATOのストルテンベルグ事務総長はMD稼働開始の式典で、あくまで防衛のための配備でありロシアの戦略核の抑止力を損ねたり、弱体化するものではないと強調した。
米の欧州MD計画は当初、ブッシュ前政権がポーランドとチェコに迎撃ミサイルとレーダー基地を配備することを想定していた。しかし、オバマ政権はこれを修正して導入技術も変更し、運用もNATO主導にする方針に転じていた。
今回の稼働はルーマニア軍基地があるデベゼルで開始。ミサイルは米軍の支援施設の中に収納され、運用はNATO司令部に委ねる。ポーランドでも同様の施設建設が近く始まる見通し。
米海軍報道官によると、デベゼルのミサイルシステムは地上配備型の「イージス・アショア」。飛来する敵ミサイルをSM3ミサイルで迎撃する。同システムの収納施設には海軍兵士約130人が詰める。
NATO防衛戦略の一環に組み込まれ、ドイツのラムシュタイン空軍基地にある司令統制センター、トルコのレーダー基地、敵ミサイル探知や追跡に当たる艦艇4隻やスペイン・ロタに配備されるNATOのSM3ミサイルなどとの統合作戦を想定している。
一方、ロシアのタス通信によると、同国大統領府のペスコフ報道官は米国の今回の措置を受け、安全保障を維持する上で必要な対抗措置が講じられると主張。ロシアのプーチン大統領は昨年10月、同国の国際社会における役割に焦点を当てる会議で、MD計画に触れ、米国は決して存在しないイランの脅威を作り出し、戦略バランスの崩壊を狙っていると非難していた。
米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の欧州問題担当責任者はCNNの取材に、ロシアは以前、MDへの対抗措置としてウクライナ危機に伴って併合に踏み切ったクリミア半島やカリーニングラード州に地対空ミサイルのS300を配備させることを示唆したことに言及した。同州は、リトアニアとポーランドに挟まれた飛び地のロシア領となっている。
米ロ関係は、ロシアによるクリミア半島編入やウクライナ東部の親ロ派武装勢力への肩入れに伴ってにらみ合いが続いている。最近ではバルト海などでロシア軍戦闘機などが米軍機や艦艇に異常接近する威嚇行為も頻発させている。
http://www.cnn.co.jp/world/35082911.html
最近アメリカ軍の艦艇にロシアの戦闘機や攻撃機が異常接近すると言う事態が続いているのも此のためだと思われます。