Nicotto Town



桜の夢数年後


数カ月前までは桜の甘い匂いという激臭が屋敷内を満たしていたが、それも少しづつ薄まっていき、今では立派な葉桜になっている。
雲一つない、胸糞悪くなるくらいのいい天気なため洗濯物を干していると、桜の木の木陰で自動人形風ラジカセのパロディが、この桜の故郷でもある遠い東の国の歌を歌い始めた。
幼なじみの一人でもあるミヨリは、よく楽器の演奏をしていたなぁと昔を思い出しながらテキパキと干していく。

いわゆるご令嬢というミヨリは優しい両親とたくさんの世話人と二人の固定の執事に囲まれ、それはそれは優雅で、美しく、世間知らずのわがままに育ったとパロセは思っている。
死んでもなおそれは変わらないらしく、死者の国のようなところで、やれ茶を淹れろだの落雁が食べたいだのと言って俺を困らせる。
そのくせ幽霊が怖いらしく、自分の周りにいる死んだはずの戦士たちにいちいちビビっている変な女。
昔はそんな変な彼女が好きだった。なんだかんだわがままはいつも聞いていたし、ちょっかいもかけていた。

しかしそんな彼女は今少しづつだが変わってきている。嫌な方向に。
彼女は生前、とある軍隊もどきに所属していた自分を探しに家を飛び出したそうだ。
理由は、その軍隊もどきがモンスターや突然変異などで壊滅に陥ったからだ。
しかし壊滅に陥る前にパロセはそこから飛び出していた。理由は思い出したくない。
ミヨリはとび出す前に自分の家のとある巻物を持って、執事たちと飛び出したそうだが、その巻物をめぐって一段落あったらしい。
らしいというのは、本人も死んだ前のことはあまり覚えていないからだ。
いつもはわがままなお嬢様なのに、ふとした瞬間、目から光が消える。
まるでパロセに依存しているかのごとく、ことごとくつきまとう。時間経過でそれも治るが、ミヨリの死んだ原因にパロセも関わっているのではないかと思うと頭が痛くなる。
勘弁して欲しい、自分は厄介なことに巻き込まれたくはない。

全て干し終えて、歌い続けているパロディを停止させる。
「おい、止めろ」
さて、今日の昼飯は何にしようか。





サークルに投稿していた「桜の夢」の続きのようなものです。
「パロセ」の幼なじみである「ミヨリ(故)」の説明回のようなものになっている( ´ ◉ᾥ◉ ` )
「ミヨリ」は自分の友人のオリキャラです。

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