Nicotto Town



「線路は続くよ」

# 駅弁と少女



「うぇ~ん。駅弁食べたいよぉ~」

小さい女の子が泣いています。

「しょうがないじゃない。売り切れちゃったんだから」

隣に座る、女の子より少し大きな少女がなだめます。

「やだ~。だって、だって駅弁買ってくれるってゆったも~ん」


昨日見たスーパーのチラシに載っていた駅弁。

色とりどりでとっても美味しそうで

従妹が目をキラキラさせてみていたから・・・

「明日買いに行こっか」

そう、約束したのに・・・


(困っちゃったな~)

駅のホーム 

ーと言っても、田んぼの脇に盛り土をしただけの、駅員さんもいない小さな無人駅ですー

辺りに響くのは女の子の泣き声だけです。



汽車が駅に着く。

駅舎もない、小さな無人駅

小さなベンチに、女の子が二人座っている。

「姉妹かしら・・・」


ドアが開く

さわやかな初夏の空気と、女の子の泣き声が車内に流れ込む。


車内販売員が、ベンチに座る少女に声をかける。

「お乗りですか?」

「あ、いえ、ちょっと休んでいるだけです。この子が泣いちゃって、バスに乗れないので」

少女が弱々しく微笑む。

とっても楽しみにしていた駅弁が買えなくて、泣き出してしまったという。


「駅弁なら、先ほど仕入れたものがありますけど・・・」

「えっ」

「駅弁あるの」

「ええ。でも、スーパーで売っているような豪華なものではないですけれど」

そう言って、販売員が撮りだしたものは・・・


薄桃色のハンカチに包まれた小さな包み

中は

おにぎりが二つと

たくあん一切れと

卵焼きが一切れ

可愛らしいうさぎさんの形の楊枝に刺さった、唐揚げとタコさんウィンナー。


「これが良い~。これ食べたいよ~」

さっきまで泣いていた女の子が、目をキラキラさせて言います。

「じゃあ、これ二つください。可愛いお弁当だね」

「うんっ」

お弁当を受け取ると、早速包みを開きはじめる女の子。

「え、お家で食べるんじゃないの」

「駅で食べるから駅弁てゆうんだも~ん」

「そうかな・・・」


「ふふふ。景色を見ながら食べるお弁当は美味しいですものね」

販売員が、遠くを見渡しながら言う。


田んぼの向こうに見下ろす街並みと、遠くに見える、まだ雪の残る山。

その向こうにキラキラと光る青色は、海でしょうか。



汽車がホームを出る。

駅が、少しずつ小さくなる。

視界から消える間際、おにぎりを頬張り笑い合う少女達の笑顔が、見えた気がした。



汽車は走り続ける。

次はどんな景色に出会えるのだろう


つづく

(#^.^#)















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2016/06/08 08:50
めぷちん♪さん

あはは
そういえば、高速道路のPAにも
「速弁」
なんてのを売ってるところがあるよ~

割と早くに売り切れちゃって、なかなか買えないんだけどね
これを買って、別の小さな空いてるPAで、景色を見ながら食べるのが好き♪

(#^.^#)
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2016/06/08 08:45
はじめさん

隣町のスーパーでね~
年に何度か「駅弁フェア」をやるんですよ~
美味しそうなのはすぐに売り切れちゃうので~
早起きして買いに行ってます(笑

(#^.^#)
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2016/06/07 12:29
今日は~♪

うふふ…^^

駅弁が食べれて~本当に良かったですね~^^

私も駅弁が大好きなので…彼女の気持ちが分かるなぁ~^^

草津と日光旅行の時~
車で旅行に行ってるのに『駅弁が食べたい。』と
ダダこねて夫に怒られた事があります~w
子供も笑ってましたw

私の大好きな「線路はつづくよ」シリーズ~
気持ちが、ほっこりしました~。
本当にいつもありがとう~m(_ _)m

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2016/06/07 12:00
駅弁いいですよね~♪
自分は新幹線でしか駅弁食べたことないので
旅の思い出とともに~です^^



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