米空軍、戦闘機用訓練機を新たに調達
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- 2016/06/20 00:15:00
(CNN) 米空軍がF35やF22など第5世代の最新型戦闘機に適応した新型の操縦訓練機の調達計画に着手したことが16日までにわかった。現在の訓練機が1959年に初飛行したノースロップ社のT38「タロン」に依然依拠している現状を踏まえた措置。
標的追尾機能や飛行環境データ共有などで最先端の技術を誇るF35機などに見合う戦闘機用練習機が必要との認識から来ている。空軍は早ければ来年、次期練習機を選定する見通し。
契約額は120億ドル(約1兆2500億円)とされる新型練習機の開発をにらみ、米国などの軍需産業は既に動き始めている。ロッキード・マーチン社は今月、T50A型機の初の試験飛行を終えた。第5世代機のような操縦席や空中給油能力を有している。
ノースロップ・グラマン社、ボーイング社の研究開発部門「ファントム・ワークス」とスウェーデンの航空機製造メーカー「サーブ」の企業連合も全て最新設計の候補機を推す見通し。
ボーイングは機体デザインなどの詳細を多く明かしていないが、初の試験飛行は年内に予定している。航空関連メディア「フライトグローバル」によると、機首部分は長い形状となり、操縦席は機体前部に設けられる。サーブ社関係者は、プロジェクトは極めて順調に進展していると語ったという。
同メディアによると、グラマン社の候補機も今年、初の試験飛行を実施する。レイセオン社もT100型機を売り込んでいる。同社は、F35機のように飛行空域で周囲360度の状況が把握出来る画像表示装置を操縦士のヘルメットに装着する機能などを強調している。T100はイタリアの航空機メーカー「アレニア・アエルマッキ」のM346型機の改造型で、現在は同国、シンガポール、イスラエルやポーランドが使っている。
ロッキード・マーチンは当初、根本的な新型練習機を目指したが、開発費削減や生産工程の短縮などを考慮しT50Aに賭けることに決めた。米空軍は新たな練習機を当初の段階では350機確保することを望んでいるとされる。同社はT50Aをサウスカロライナ州グリーンビルにある工場で生産する準備をしている。少なくとも200人の新たな雇用機会が生まれるとしている。
新型練習機の導入は、米空軍の操縦士の高度訓練計画の一環。旧式化したタロンの飛行に必要な経費は高くつき、技術的にも進んでおらず、高速飛行が出来ないとの事情もある。同機が空中戦の高速飛行で旋回する際の重力加速度は5.5G以下とされ、空軍は新型練習機に対し少なくとも7.5Gの性能を求めているともされる。
ロッキード・マーチン社に所属する元空軍パイロットによると、タロンの空中戦能力は1950年代もしくは60年代当時の技術に制限されている。その上で、T50Aなら8Gでの飛行技術の教育が可能と主張。訓練機で高度のG飛行を経験していれば、最先端の戦闘機の操縦を始めた際に習熟期間を減らすことが出来ると指摘した。
また、タロンでは暗視装置を装着しての訓練飛行は無理だが、T50Aの場合は可能としている。
ロッキード・マーチン社によると、F35の操縦を認められるパイロットは他の機種で1500〜3000時間の飛行経験が求められるとされる。F35を実際に操縦する前にはタロンでさらに約200時間の訓練が必要だという。
http://www.cnn.co.jp/usa/35084408.html