Nicotto Town



「セカイノハジマリ」

壊れた世界


そこに立っていた


「駅ならあっちだよ」

声に振り返ると

がれきの上に、少年が腰掛けていた


彼の指さす先を見る

だけど

果てしなく広がるがれきが、淡い靄の中に広がるだけ


「ミエナイヨ」

「でもあるのさ」

「アナタハイカナイノ?」

「僕はここにいたいのさ」


再び、世界を見渡す


もとは何だったのかわからないがれきばかりだと思っていたけれど

違うことに気付く


プラスチックに描かれた、まがい物の虹の欠片

お日様のつもりだったのか

表情の見えない笑顔の書かれた、ひからびたみかんの皮

色のはげたおもちゃの銀玉は、お星様のなれの果てだろうか

そして

散らばる、大小様々の歯車


そんな世界の中に、ひとつだけ、動くものがあった

「アノコハ、ナニヲシテイルノ?」

がれきの中から、何かを拾い集めている少女

「歯車を拾い集めているのさ」

「ナゼ?」

「さあね」


彼の言葉は、嘘だと思った

きっと、彼はそのわけを知っているのだろう


「コノオハカハ、ダレノモノ?」

少年の足元に作られた、たくさんのお墓に気付き、きいてみた

お墓には、それぞれ、仮面が添えられている

「君には関係のないことさ」


「もう良いだろ。早く行きなよ。汽車が出てしまう前に」


駅があるという方向へ歩き出す

でも

最後に、ひとつだけ・・・


「ドウシテ、セカイハコワレテシマッタノ?」


「覚えていないんだね・・・。初めから、君の世界は壊れているのさ」


振り向いたけれど

そこには誰もいなかった






(#^.^#)











アバター
2016/07/10 00:15
今晩は~♪

S.F風の不思議なお話ですね。

始めから壊れてると言う「君の世界」
…って自分の中だけの物なのかな?
それとも比喩的な物なのかな?

色々考えさせられます^^
頭に浮かんだのは…「クロノトリガー」の未来
漫画の「アキラ」など…。
オリンピックの年に(確か…2020年?)に
大東京が、壊れてましたね~。

壊れると、また新しく始まる…そう言う事なのかな~?
考えると今夜は眠れないかもw
一つだけ確かなのは…我が家の夫婦仲は、完全に壊れてます~w






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