何人目かのアリス
- カテゴリ:小説/詩
- 2016/08/12 02:04:56
夢を見た。
あるときは、かわいらしいパジャマに身を包んだ私が友達がほしいと泣く夢。
あるときは、セーラー服と白衣を纏った私が父親と一緒に行動している夢。
あるときは、露出の激しい衣装を着た私がわがまま言い放題にしている夢。
あるときは私が、あるときは・・・
質素な宿屋の天井が見える。
朝になったのかと目をこすりながらアリスは起き上がる。
アリスの見る夢は、自分と関係のないものでも、過去現在未来を夢わたる力で構成されている。
この世には別の世界があり、そこでは自分以外の自分が、自分とは違う生活をしているということをアリスは知っている。
小さなころにこの力を悪用しようとしていた父親の目を盗んで、教育を施してくれたアリスの母親の妹である叔母。
そのおかげで自分は善悪がわかるようになり、こうして夢で見た世界を自分の足で見て回りたいと行動する力も手に入れた。
アリスの両親、叔母の故郷である国にたどり着くまでもう少しだが、アリスはそこへたどり着く前に面白いものを発見する。
自分が生まれ育った、自分の力を宗教として取り扱っていた教団の跡地だった。
どの世界のアリスも、ここから生まれて、スタートする。
「危なくなったら、逃げればいいよね」
宿屋で出された質素なサンドイッチを頬張りながら、周辺の地図を読みこむ。
自分のスタート地点に戻るのはおそらく初めてだろう。すでに教団は壊滅し、跡地になっていることだけは知っていたが・・・。
食べ終えて、愛用のキャリーケースと、少し古いウサギのぬいぐるみを抱えながらアリスは宿屋を出る。
この世界のアリスは、不思議で見たこともない未知の世界を、しっかりと歩いている。
※
不思議の(未知である)国の(道のりを自分で進んでいく系)アリス。
このアリス以外にも、たくさんのアリスが様々な世界に存在する。
ただ、このアリスも元祖アリスと同じように、胸囲にはめぐまれなかったようだ。
サークル「居場所を求めて三千里」からご挨拶です。
このほど入会申請ありがとうございます。
活動盛んなサークルなので、お友達も沢山できると思います。
気のいいマナーのある会員ばかりなので、ご安心下さいね。
サークル内のイベントに参加して楽しんでください。
これからも宜しくお願いします。