Nicotto Town ニコッとタウン

スマホ版あります♪



悪魔裁判 【短編】2

リリスの子よ、ひれ伏しなさい。


その罪に傅き、贖罪を受けるのです。


*


「被告人は〝殺人〟の罪で起訴されました。ヒトで無き者がヒトを殺めてはなりません」
「よって被告人を〝有罪〟とし、〝死刑〟判決を言い渡します」

 木槌が打ち鳴らされる。
 静寂を守っていた傍聴人達は、一斉に色めき立ち声を上げて賛成する。

「「「有罪!有罪!有罪!有罪!」」」

 叫ぶように合唱する声。心臓を貫く手拍子。
 少女は青ざめ、ただ言葉を失うばかりだった。
 壇上から見下ろせば死霊と悪魔共が、揃いも揃って醜悪な笑みを浮かべている。

「嫌だ!死にたくない!!」

 流されそうな感情の波。
 耳を劈く叫び声に振り向けば、そこに居たのは自分。
 今にも泣きそうに震える声がまた別の声にかき消される。

「私は悪くない!」

 横を向けばまた自分。
 裂けんばかりに響く声は、次の瞬間聞こえなくなる。

「それでは被告人、こちらへ」

 壇上の悪魔が手を差し伸べる。
 ああ、違う。
 私じゃない。
 私は悪くない。
 どうして私と決め付けるの。
 私じゃないと駄目なの。

「――私じゃない!!!!」

 振り上げられる鈍色と、無慈悲な微笑み。
 いつもここで終わる。
 いつもここで目が覚める。
 いつもここで、ベッドから落ちる。

 叩きつけられた木目の床に、力なく伸ばされる蒼白な腕。
 血の通わない指先に力が入らない。
 耳の奥には悪魔の声、突き上げる絶望と残酷な刃。
 独りぼっちの大部屋に、紅い月光がゆらゆらと泳いでいた。

*


リリスの子よ、逆らうことは許しません。



何故なら、貴方がたはわたしの愛すべき子ども達なのですから。



*****

オリジナル創作企画⇒即興の茶番劇-トッカータ・バーレスク-

終わり

#日記広場:自作小説




月別アーカイブ

2022

2021

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009


Copyright © 2026 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.