Nicotto Town



「線路は続くよ」

# まがい物の翼



夕焼けに包まれた駅

ホームに植えられた樹の枝に、羽根の折れたトンボが止まっている

空を見ていた


夕焼け空を飛ぶ赤トンボ

羽を休めるためにか、降りてきて、駅舎の庇にとまる


夕焼け空よりも赤いトンボを見上げて、羽根の折れたトンボが声をかける

「君たちはどこへ行くの?」

赤トンボが答える

「海を見に行くのさ。夕焼けの海をね」

「じゃあ、僕と一緒だね。僕も、海を見に行く所なんだ」

「その折れた羽根ではむりだろ。歩いて行くつもりかい?海は遠いぜ」

「大丈夫、僕の翼は、あそこにあるよ」

ホームに停まる汽車を指して言うトンボ

「あれは、人の作ったものだろう?偽物の翼で行ったって、意味なんかあるものか」

「たとえまがい物でも、翼はやっぱり、翼なんだと思うよ。きっと、意味はあるはずさ」

「そうかね~?」

「きっとそうさ。だって・・・


言いかけた時、羽根の折れたトンボのもとに、木鼠が登ってくる

「トンボ君。発車の時間だよ」

「うん。わかった。じゃあまたお願いするよ」

羽根の折れたトンボは、もう一度夕焼け空を見上げ、木鼠の頭にとまる

「それじゃあ、僕はもう行くね」

赤トンボに声をかける

「ああ・・・」

赤トンボの返事


「おい!」

木鼠のの頭に乗り、木を降りかけた羽根の折れたトンボに、赤トンボが声をかける

続けて言う

「この次会うのは海だな!」

立ち止まり、羽根の折れたトンボも言う

「うん。きっと海で会おう!」

「約束だぜ!」

「約束だよ!」



汽車は走り続ける

次は、どんな景色が待っているのだろう



つづく




(#^.^#)

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2016/10/04 15:12
今日は~♪

この世界観~好きです~^^

赤、オレンジ、黄色の綺麗な夕焼け空を、バックに…
舞う様に飛ぶ―赤とんぼさん達~
駅舎と緑の木々~

そして…羽の折れた赤とんぼさん…
折れた事を、嘆き絶望するのではなく…
一歩先の「海に行く」と言う目標を、小さな胸に抱いている…
前向きな~素敵な赤トンボさんですよね~^^

オフコースの名曲「♪耳を塞いで目を閉じてたら~
そこから逃げられない~君はまだ~あの夏の中~♪」
(「愛ある所へ」)って歌が、あるんですが…
それですよね~私も…まだまだ…コレです~w

ごめんなさい~脱線しました~。
この情景は、もっと秋っぽい音楽が、良いですよね^^




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