Nicotto Town



「線路は続くよ」

# 秋の訪れ



汽車が駅に着く

女の子が二人、扉へと向かう

荷物は置いたままだ

背中には、淡い色の羽

おそろいの、透けるようなメープル色の服を着ている

妖精だろうか


「いよいよだね」

「うん、緊張するよ」


扉にたどり着いた二人は、内と外に別れる

降りるのは、一人だけのようだ

「頑張ってね。わたしは次の街だから」

汽車に残る女の子が言う

「うん、あなたも。何かあったら、メールしてね」

と、降りる方の女の子

「何かありそうなのは、あなたの方のような気がするけど・・・」

「それは気のせいよ!」

「だったら良いんだけどね」

笑いながら言う

「ひどいな~」


「まもなく出発します」

二人に車内販売員が声をかける

「じゃあ、行くね」

「うん。季節が変わる頃、また会いましょう」

「またね」

手を振り、絵駅舎へと向かう女の子を心配そうに見送り、汽車に残る女の子が、座席に戻ってくる


「!!!!!!」

座席を凝視し、驚いた顔の女の子

慌てたように、ホーム側の窓に駆け寄り、ホームを見渡す

やがてベルが鳴り、汽車が駅を出る

「どうしよう・・・」

女の子がつぶやいた時


「わ~~~~~~~~~!」

と言う声とともに、どたどたと走る足音がうしろの車両から近づいてくる


車両をつなぐドアからあらわれたのは、先ほど降りたはずの女の子だ

ハアハアと息を切らしながら、座席にたどり着く

座席には、二人分の荷物

「あはは。荷物持っていくの忘れちゃった」

続けて言う

「慌てて引き返したけど、ドアが閉まっちゃったから、うしろの展望デッキから飛び乗ってきたよ」

「あきれた・・・。でも、どうするの?あなたが行かないと、秋にならないわよ、この街」

「まあ、次で降りて引き返せば大丈夫なんじゃない?lリゾートの街みたいだし。夏が続いた方がうれしい人が多いよ、きっと」

そうか?


二人が話をしているところに、車内販売員が通りかかる

「あ、販売員さん、わたし、切符を持っていないのだけれど・・・」

「切符なら、ここでも扱ってますよ。お得な回数券もありますよ」

「あ、じゃあ回数券下さい」

「あなた・・・何往復するつもりよ」

「あはは。念のためだよ~」

この街の夏は、まだ終わりそうにありません・・・



汽車は走り続ける

次は、どんな風景に出会えるのだろう



つづく


(#^.^#)








アバター
2016/10/05 16:31
めぷちん♪さん

いつもありがとう♪

そう
実はこれ、昨日とっても暑かったので、思いついたお話なのです

(#^.^#)
アバター
2016/10/05 16:28
今日は~♪

あはは…^^
慌てん坊の秋の精さんだね~^^
もしかしたら、次の駅も乗り過ごしそうな~
おっちょこちょいブリですね~w

そっか~私達の街に秋が、中々来ないのは
彼女のせいか…w



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