中国、最新ステルス戦闘機「殲20」を初公開
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- 2016/11/05 18:27:11
【珠海(広東省)=中村裕】広東省珠海市で1日開幕した国際航空宇宙博覧会(珠海航空ショー)で、中国は最新型の国産ステルス戦闘機「殲20(J20)」を初公開した。敵のレーダーに探知されにくい次世代戦闘機で、米国の主力ステルス戦闘機「F22」を意識して独自開発を進めてきた。実力は不明だが、2017年に実戦配備するとみられ、中国空軍の強化が一段と進む可能性が高い。
珠海航空ショーは2年に一度の開催で、中国最大の航空博覧会として知られる。開幕式には李長春元政治局常務委員、広東省トップで政治局委員の胡春華党委書記のほか軍幹部も多数出席し、殲20の初公開を祝った。
共産党機関紙・人民日報のニュースサイト「人民網」は、殲20の開発が順調に進めば、来年初にも実戦配備される可能性があると報じた。殲20は11年に初飛行して以降、エンジンなどの開発に時間を要していた。
中国の軍事や外交・安全保障に詳しい小原凡司・東京財団研究員は「殲20をうまく量産体制に乗せられれば、現在の主力機から世代交代が進み、脅威になる。速度など運動性能をどこまで出せるかは不明だが、早ければ年内の部隊配備の可能性も出てきた」と説明する。
習近平指導部は海洋強国を目指し、近年、空軍の強化も進めてきた。13年には東シナ海上空に防空識別圏を設定し、自衛隊機や米軍機の監視を強めたが、南シナ海の領有権を巡り中国側の主張を退けた7月の仲裁裁判所の判決が出て以降は、さらに活動を活発化した。
9月には戦闘機「スホイ30」など40機以上の軍用機が沖縄県の沖縄本島と宮古島の間の上空を通過し、西太平洋で訓練を実施した。中国の活発な動きを受け、周辺国も最新鋭のステルス戦闘機の導入や検討を進めている。日本も現在、米国の最新鋭ステルス戦闘機「F35」を順次、国内に配備し、合計42機を導入する計画で準備が進む。
珠海航空ショーでは殲20の初公開のほか、ロシアなど海外各国の防衛・航空産業各社が軍用機や航空機などを多数出展。今回は42カ国・地域から約700社が参加した。会期中(6日閉幕)の契約金額も2年前の開催時の234億ドル(約2兆5千億円)を上回る見通しだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM01H7M_R01C16A1FF1000/