ギターはこう買う! 末期病人編
- カテゴリ:音楽
- 2016/12/30 16:53:09
自分でギターの買い方に関する記事を書いたら自分が刺激されてしまった。
こういうのをセルフマッチポンプとでもいうのだろうか。中古サイトを夜中調査。
むむ、1978年のUSA製が72000円だと? どうする俺。数日悩むのです。
今回は回復不能の末期病人ギター馬鹿の生態に関してレポートしよう。
一般的なマニアやコレクターと通ずるものがあると思われる。
そこにはこの世のまだ見ぬ真理が潜んでいる。いつまで経っても辿りつけないけど。
1.どんな楽器にも唯一無二の個性がある。
電子楽器と異なり、楽器の殆どは手作業で作られます。安物でも人が組み立てる。
材料が自然素材(木材)であることも影響し、極論すれば同じ音の楽器は存在しない。
人間や生物と同じなのです。同じ会社の同品番の製品でもかなり異なるのですよ。
2.理想の1本、というものは存在しない。
全ての望みを叶えてくれる究極の1本、というのは完全オーダーしても無理。
ウン千万円の名器を買っても、それでは出ない音がこの世には無数にあるんです。
あ、コレもいい。う、コッチもエエじゃない。こうして無限増殖が始まる。
3.目利きになった錯覚を思う存分堪能できる。
コレ、判っていただけるのではないかな。自分の価値観全開、誰にも文句は言わせない。
偏見まみれの蘊蓄で理論武装して、お店や中古サイトを渉猟してブツブツ呟く。
この楽しみはどんなものにもあるんでしょう。「錯覚」というところが大切だと思うのです。
4.生きる張り合いが腹の底から湧き上がってくる。
ハハハ、道楽について考えてると時の経つのを忘れ、大概の鬱憤も解消できますな。
様々なトラブルでうんざりする。でも、俺はまだあのメーカーの〇〇は弾いていないぞ。
そう思うと弾かずに死ぬのは勿体ない気がしてくる。延命効果がありますね。
5.あるバカの中古ギター購入レポート
私は既に亡き国内メーカーの楽器を愛用しておりますです。5本も。
基本は同じですが、個体差に合わせて1本ずつ微妙なカスタマイズをしております。
前衛ならコレ、ジャズロックはこの子、歌伴ならこの一本……てな言い訳もしてる。
さて半年前、某リサイクルショップに同じメーカーのギターが入った。6万弱。
この価格では買う気がない。私は中古購入時、5万以内を不文律にしているのです。
なぜって、修理と調整に出すと最低7万かかるんだもの。それで見送った。
このリサイクルショップは定期的に価格をジワジワ下げてくる。時々チェック。
54800円、まだまだ。49800円、人気ないからもっと下がるでしょ。43200円。
こんな風に見守っていたら、今月上旬に35000円まで下がった。でも売れず。
親族関係で忙しい時期だったが、この件は頭の隅に常に入っていた。
72000円のアメリカ製で悩んでいた本日、家人より買い出しの指令を受けた。
ついでにリサイクルショップを覗いてみた。おお、神と悪魔に栄光あれ!
『年末の2日間限り 全商品20%オフ』
見た瞬間店員に走り寄って試奏させてもらい、15分後には購入。やっちゃったー。
とりあえず修理は見送る。程度は誠に宜しい。音色も大変ケッコウでございます。
所有する5本と弾き比べる。基本は同じ、でも違う。マニアってのはこんなものです。
6.中古には前オーナーの個性が残っている。
古本の書き込み鑑賞について記事を書いたことがありますが、ギターも同じ。
いくつか改造してあるのですが、この推測が誠に楽しく、理由にも共感できる。
もはや末期の病人ですが、列挙してみましょう。マニアしかワカランだろうが。
A:90年前半のエリッククラプトンのファンである
→フレットの種類と減り方、クラプトン類似の回路を増設などから分かる。
B:USA製の某高級コンポーネントギターをメインに弾いている。
→ストラップをつけるエンドピンという部品の取り付け穴が複数残っている。
そのうちの2つの位置は、某メーカーの製品と同じ。おそらく80年代製のはず。
C:バラード系ポップスの伴奏をかなりの頻度でやっている。
→ピックアップ(マイクみたいなもの)の一つを有名なUSA製に変更している。
品番と取付位置から考えると、歌伴で柔らかめの音質を必要としたためだ。
……殆ど探偵ゴッコでしょ? でもコレも楽しい作業なんですよ。当たってると思う。
カメラや古着、陶磁器でもこういう推理をするのが好きなんです。立派なビョーキ。
末期ギター馬鹿なら首肯するはず。理解できないアナタは健全です、ご安心を。
♪こっちの みーずは あーまいぞ♪ と誘惑する、でんじゃらすなお話なのです、へへへへ。
先日でしたか、アイドルマニアが投資する金額についての調査結果に「少なすぎる!」という声が上がりましたが、
抗議した人々の気分が分かります。そんなもん、マニアじゃないわい! という不条理な怒りが素敵です。
趣味に走ると破産しかねませんよね。
マニアになるのも死活問題ですが、
なってしまった時の楽しみときたら、
なにものにも代えがたい歓びにまでなってしまうのは想像できます。
(まだ想像できる、レベルのはず・・・汗)
この手のマニア話は枚挙に暇なく、それだけ考えて生涯を終えて悔いなし!という気もいたしますです。
マルエン系の古本は風情のある書き込みが多いですよね。栞の鑑賞も分かります、私もやります。
ギターの話で有名なのは、某巨大掲示板の泣けるシリーズに出ていた『ストラト男』ってヤツです。
夢の一つに、こういう故事来歴的薀蓄を熱く語るヤツだけが集まる古物商兼カフェを開くってのがあります。
でもケチな客ばっかり集まって長居してばかり、売上低迷して半年で閉店という絵も見えてきますが。
そうそう、紙幣収集家に書き込みのある紙幣ばかり集めてる方もいたような記憶が。これも面白かったです。
書き込みとかは初歩の初歩で、そのうち、
版元や書店以外の栞とかまでチェックが入ってきて、
前持ち主のプロファイリングがはじまってしまうのですよねぇ。
いちばんの傑作は「三里塚斗争(闘争じゃないのもにくい)勝利!!」とマジックで自分への檄文が書かれていたレーニンの『哲学ノート』だったです。
でもその栞を愛用していたらなくしちゃったんですよね。
凄いフォト蔵で見せびらかせたいですw
そして『哲学ノート』は未読です。
あ、理解できちゃったわたしもビョーキ?! 否定はしません!w