花を追って
- カテゴリ:小説/詩
- 2017/03/09 09:58:26
今日も風が強い
カフェのカーテンがたなびいて
おいで、おいでをする
でももう入れない
あなたの影が忘れられなくて
もう1年半になるのに
心を固く閉ざしていて
変わるものは何もなくて
あなたについて行けなかった
それだけが後悔
あなたと行ったガイドブックに載っていたお寺
一人で行ってみた
満開の黄色いその花は
冬と春とをつなぐ花
抱きしめたくなって空を見上げた
あなたを愛していた
あなたはどうだったの
心ときめいていた最初が
なにより懐かしい
こんな事じゃもう駄目ね
別のお寺についた時
可憐な花をつけていた木
「これは何という気ですか?」
「三俣ですよ」
あなたと育てたかったのに
なんにもいらなかった
あなたさえいればよかった
まだ忘れられない
北風に冷たくなる足も
暖める物さえ知らずに
帰る時はいつも
頬をつついてくれた
もうそれもない
レールに入ってくる電車が
やけに早く感じる
さよならは欲しくなかった
いつまでも一緒にいたかった
愛をなくす位なら
無い方がずっと楽なのに
人は誰も愛を追いかける
悲しかったのね。
何でも話して。受け止めるからね。