【お話】魔法横丁の小さな広場で
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- 2017/04/21 13:17:37
ここは、魔法横丁の小さな広場。
通りと通りが交差する、ちょっとした空間。
あちこちで店番をする人たちの姿は、変身薬入りのお茶のせいか、ちょっと不思議。
顔なじみのうさぎの店主は、のんびりと、今日もポーションを練っている。
「店主、依頼にあった、魔法花の蜜と花粉を持ってきたよ」
「ほいほい。依頼料の恋心のスミレと、月光を集めた花はこちらだよ。
ついでに、お茶はどうだい?」
「前にそれ飲んだら、眼の色が赤に変わって、三日ぐらい戻らなかったよ……」
「おや。うさぎに変わる薬を入れたはずなんだけどねえ。じゃあ、代わりにこの飴玉をあげるよ」
からん、ころん。
甘い味のする飴を、口に放り込む。舌先で転がせば、魔法の光がちらりと見えた。
店主の作る飴玉は、お茶と同じく、不思議を起こす。
「あれあれ? 広場に何か見える」
「おや、今年も、魔法の泉が現れた」
さっきまで、何もなかったはずの場所に、
月の光を集めた、泉。
きらきらと、ゆらゆらと。やわらかな光をまとい、幻と現実の間を揺れ動く。
「ここは、通りと通りが交差する場所。
魔法だまりができて、時折、こういった泉が出現する。
いつ現れるか、わからない。現れても、いつまでそこにあるのかも、わからない。
ちょっとした、サプライズだね。
しかも、見える目のある者にしか、見つけられないときた」
店主は笑って、お茶を飲んだ。
「慣れてるね」
「そりゃ、何年もここに店を構えていればね」
「どうして見えるようになったんだろう」
「そりゃ、さっきの飴だ。あれは、ものが良く見えるようになる飴だから。
魔法蜜の採取は大変だったろう。サービスだ。
そら、泉が揺れている。今回はあまり、しっかりこっちに出現できてないようだ。
消えてしまう前に近づいて、のぞいてごらん。
何か未来が見えるかもしれないよ?」
店主に言われて、そうっと近づいた。
魔法でできた泉には、ゆらゆらと何かの影がうつっている。
いったい、何が見えるのだろう?
***
魔法横丁の街角風景。
ごちゃっとした感じと共に、ちょっと不思議空間になりました。