タケシの武勇伝…(7)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/09/26 02:38:04
夏休みの補習が終わって1週間後…
シンさんちのプリント運び一番手に指名されたタケシは学校の正門をくぐった。
「これじゃ普通に登校してるみてえだなぁ…」と思いながら、1週間前と同じく、体育教官室の前に立ち、大声で「失礼します!」と叫んだ。
タケシが静々(恐る恐る)扉を開けると、こちらも1週間前と同じく、窓ガラスを背にしたゴリ山さんの姿があった。ふいに例の「+」ハゲを思い出したタケシは、歯を食いしばって笑いをこらえた。
「おう、北野…こっち来い」と、タケシを手招きしたゴリ山さんが、クリップで挟んだ20枚ほどあるプリントの束を手渡した。そして、タケシの左腕にある傷をみたゴリ山さんは、おもむろにこう切り出した。
「北野、手は全然ダメなのか?」
瞬時にタケシは不機嫌になった。「ハイ…」と応えたが、その口調は思いっきり怒りの感情がこもっていた。触れて欲しくない話だったからだ。
タケシの口調に気付いたのか、ゴリ山さんは今度は少々優しく言った。
「おまえのことは、野球部の監督や担任の先生から聞いている…何かあったら、俺のところに来い。おまえの運動神経なら、他の運動でも充分通用するんだからな。もったいない生き方だけはするんじゃないぞ…いいか!」
また「ハイ…」と応えたタケシだったが、いっそう不機嫌になった。大きなお世話だと感じたからだ。
「失礼します!」と言って教官室を出たタケシは、不愉快な気分で自分の左手を見つめると、手をギュっと握りしめてみた。だが、神経の通ってない伸びたままの中指のせいで、親指と小指にしか力が入らなかった。
『好きだったことができなくて、何をやれっていうんだよ!』
タケシは、こう思った自分の考えが甘ったれていることはよく分かっていた。不慮の事故だが、指1本で済んだタケシよりもっとついてない不幸な人間はこの世に山ほどいるのだから。
だが、それでもこう思わずにはいられなかった。いまだに自分を撃った犯人も捕まっていないし、なにより怒りのぶつけ先がない以上、自然気持ちが内側に向くしかなかったのだ。
不愉快な気分のためか、早足で正門を出たタケシは、プリントと一緒に渡された地図にあるシンさんの家へと向かった。
朝の9時だというのに、日差しは刺すように暑かった。だが、その時のタケシは、不愉快さがいっぱいで日差しの暑さなどまったく感じていなかった……
※※つづく※※
でもなんとくわかる気がする
おはステお届けー☆
ゴキブンさんが入会されました。よろしくお願いします。
掲載作品 『宇宙ゴミになったクズト』 『ちょこっとHな娘と度Mなお化け』
更新中 『恋はストーカー』
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さっそくほかの会員の方々に紹介していこうと思います。
それと現在ほかの会員の方々に伺っているのですが、執筆はしないけれどもよんでくださる方も会員に加えたいと思います。10月1日までに賛否のほどを当方の伝言ブログにお寄せ下さい。
ミステリーというよりはサスペンスになっていくのですかね。