休日
- カテゴリ:小説/詩
- 2017/05/04 10:26:20
ダージリンの香りに包まれて
外を見れは曇りの蔭
向かいの席にはあなたがいる
紅茶から揺らぐ上記から目を移せば
やんわりと時間が過ぎていく
スコーンを温めてジャムを塗って
向かい側に差し出す
でもそこには誰もいなくて
ただ冷めていくぬくもりが
あなたの影を追い求める
パジャマもままで靴下も履かず
こんな時間があってもいい
いくらあなた他を追い求めても
捕まえることなんかできない
あきらめる心はどこ
出かける気もない休日の安堵さ
静かに時が過ぎていく
古径も隠して時間も忘れて
ラベンダーのお香をたいてみる
くゆる香りが部屋に広がる
あなたは今頃何をしているのだろう
そんな想像も少なくなった
だんだんと遠のいていく記憶たちが
あなたの影を消していく
そして雲に覆われる
今日も太陽うは外に出ない
まるで休暇を取っているように
雲に変わりを押しつけて
どこかで休んでいるのか
たまにはそんな日があってもいい
スローなジャズを流しながら
この間まで泣いていた自分を感じる
卒業したわけじゃないけど
もしあなたがここにいたら
また恋をするのだろうか
すっかり冷え込んだスコーンを温めて
紅茶を入れて
ちょっと焦げたにおいのするジャム付きのスコーン
もうあなたが食べることもない
あなたのために作ることもない
陽が暮れた
時が暮れた
都会の空には光が届かない星たち
こうして一日が終わる
こうして別れが遠ざかる