愛の小箱
- カテゴリ:小説/詩
- 2017/05/31 15:28:54
私が差し出した小さな箱の中に
思い切り詰め込んだあなたへの想い
受け取ってくれたらそれでいい
ふたを開けてくれればそれでいい
愛という名の煙にまぎれる
想いという名の愛のかけらが
ここにまだ残っている
箱からこぼれおちて
私を包んでしまう
そんなことさえが愛おしかった
もうダメかもしれないと
幾夜想ったことだろう
時計の針が動く音に耳を澄まし
眠れない夜を超えて
あなたを探しに行くのに
受け取ってくれた小さな箱
思いがけないことで嬉しかった
この想いをそっと そして愛の香りを混ぜ込んで
あなたはその香りに気づいただろうか
答えはとても聞くこともないけど
もうすぐ雨の季節になる
紫陽花がきれいになる
あなたに手をひかれて行ってみたい
でもきっとだめね
私の愛は深いけど
小箱に入りきれなかった想い
其れを抱えて過ごす日々も
せつない思いがいっぱいで
部屋に香りをただよせながら
私の心を苦しめる
きらびやかな箱は無かったけど
それでも私にとっては十分だった
赤く染めたその箱を側においてくれるだけでいい
何も言わないから
あなたの傍にあればいい