アンチ・テック・テロの将来
- カテゴリ:日記
- 2017/06/26 17:44:19
共謀罪に問われるような話題ではございません(おそらくは)。
SFが昔からネタにしてきた人工知能と高度な管理社会が、
既に決定的なまでにヒトを変容させた、というお話でございます。
人工知能の発達が凄まじいですね。将棋や囲碁ももはや解析間近でしょう。
タクシー会社が携帯会社と共同で乗客の動向予測プログラムを作ったら、
ベテランドライバーより高い割合で客を拾うようになった。
社員に定期的に作文を書かせて「退社危険度」を評価するソフトもある。
文章および単語から類推し学習するというからオソロシイ。人事はいらなくなる。
デジカメに笑顔判定ソフトが搭載されたころから、こうなると思ってました。
少々長いが要点を明確にしましょう。
現実の自分があり(『実存』というべきか)、社会的存在の自分もいる。
さて、社会的自己存在の有用性を判断するのが人工知能という時代が来た。
卑近な例から。デジカメに向かって「笑顔」作るとシャッター切れますか?
あのプログラムは人材コンサル屋の大好きな理論を応用してますよね。
眼が大きく見開き、口角が上がり、健康な白い歯が覗いた表情のコト。
これが「笑顔」として一般化するのに時間はかかりませんでした。
個人的に恐ろしいことだと思いましたが、時代の趨勢に抗えなかった。
歯列矯正に健康な歯……欧米的な『肉食の笑顔』が蔓延したのです。
そういう笑顔を作ることが良識であり一般常識である、ということです。
本来の自分(実存)の感情? 笑顔になるから愉快になるという論法も使われ、
社会的な笑顔と、本質的な笑顔の乖離がもはや取り返しのつかない所に来た。
次に挙動。すでに欧米では犯罪者の「挙動」を分析して警告するシステムがある。
不審な行動がパターン化されてるわけです。そういう動きはしちゃイカン。
お分かりですね。良識ある人間がしない動きをすると犯罪者扱いされるわけです。
全てにおいてビッグデータと確率から導き出されるこれらの『新規範』。
止まるわけがありません。道徳と良識に支えられた民主制の賜物ですもの。
結論はですね、アンタの『実存』なんぞドーデモいいんだよという一言です。
退社予防プログラムの話に戻すとですね、何となく書いた作文から、
プログラムが「退社の危険度が高い」と判定したならば、
それこそが企業と社員にとって疑いようのない『事実』なんですよ。
データと確率、AIによって判定される貴方こそ、真の貴方なのです。
『我、評価される。故に我在り』となるわけです。哲学なんて不要です。
各種の仮想(仮面)人格こそが真の貴方である、といっても宜しい。
この手の話題を昔のSFは『人間性喪失』の危機として警告し続けていた。
しかし自由競争、資本主義と合理化効率化の前には無力だった。敗北です。
私が絶望した上記の状況を『当然の環境』と思って過ごす人類が世の中心です。
さて表題。SFでは世界を覆う巨大システムに戦いを挑み散ったヤツは多い。
現代はいかに順応し利用するかという効率重視の作風が増えてる気がする。
ですが『Beat the System!』を心中唱えるヤツはそれなりにいるだろう。
歴史とか、宗教と民族を対立軸にした扮装やテロは減少するでしょう。
経済対立が紛争の主因となる。階級闘争は形を変えて生き残る。
それが今世紀後半『Anti-tech-Terrorism』として散発的に発生するだろう。
これはハナから『敗北』を宿命づけられたバカバカしい戦いです。
戦いというのもおこがましい。アナクロとローテク、文明批判ってだけ。
私はこの戦いに身を投じようという気分を濃厚に抱いている。
コンピュータがこう言ってるだと? ザケンナ、人様なめるな。
前歯剥きだしたイヒヒ笑いは芸人だけで沢山だ。男が人前で歯を見せるな。
データ至上主義……はいはい。俺は直観と瞬発力しか信じてねえよ。
肯定的に判定・評価されることがホモ・サピエンスの存在意義になっている。
なんでしょね、この脆弱さ。存在って、独りで全てに拮抗しようという意思だよ。
おまえの主人はおまえだけだ。おまえが認めることがおまえの意義だ。
これが私の考えるアンチ・テック・テロの基本理念ですね。
わ、この駄文も官憲のプログラムに引っかかって、危険分子扱いされ、
数日後捜査員が我が陋屋を訪れるかもしれん。よっし来い。待ってるぞ。