アラキの大冒険Season2 プロローグ
- カテゴリ:小説/詩
- 2017/07/01 12:02:26
例の出来事があってから数日後。
私は何となくいつも木漏れ日の森に行っては
帰ってきて、ぼーっとしている毎日を過ごしていた。
高校に行って図書室に居る時も、本の内容なんて
頭に入らない。気が付けばスプリネが心配そうに
私の顔を見ていた。
このモヤモヤする気持ちは何だろう。
けどわかることは、そのもやもやの中には
何か足りないものがあった。
平べったい壁にポッコリと1つ大きな穴が
開いてしまったような・・・・・・。
そんなある日、フュールが私に言った。
「一緒にギルドまで行こう。」って。
そっか・・・・・・。暫く一緒にギルドのみんなと
行動していたから忘れていたけど、ギルドへ行って
ネルフ君たちにお礼をするって約束、
まだだったもんね。
「・・・よし!最近ずっとぼーっとしてて腕がなまっちゃ
ってるといけないし、久々に遠出しようか!」
そうフュールに言うと、すごく喜んだ。
私もつられて笑顔にはなった。
・・・けど、やはり何かが足りない・・・。
何でだろう・・・。
・・・仕方がないのよ。ああするしか互いに
生きて行く道がなかったんだもの。
離れ離れにはなっちゃったけど・・・・・・。
自問自答を繰り返していた。
そうでもしないとやっていけないもの・・・・・・。
ぽっかり空いた穴の正体・・・・・・これがアラキだってことは
解っているけど・・・・・・いくら穴を埋めようとしても
埋められない・・・・・・。
・・・・・・やっぱり・・・・・・合いたいよ・・・・・・。
・・・・・・いや、せっかくフュールが私に笑顔をくれたんだもの。
ここで泣いちゃダメよね。
よし。
また冒険頑張りますか!
こうしてアノート達をギルドアサヒーズに顔を出す。
「やあアノートさん。久しぶりですね。」
とネルフは、そう言ってアノート達を優しく
応接室に進める。
「そうね。この前のあの出来事以来かしら?」
とアノートは、寂しそうな笑顔でそう言った。
「・・・・・・。」
そんなアノートを見てフュールは、
心を痛める。そしてフュールは、
「ネルフさん、一つ相談があるのですが・・・。」
とネルフに相談を持ちかける。
「なんだ?」
とネルフは、優しくそうフュールに聞くとフュールは、
「・・・アラキさんをまたこの世界に連れてくる
方法ってないんですか・・・?」
という突拍子のない質問をネルフに
問い掛ける。アノートは慌てながら、
「!?フュール・・・・・・何を言うの!!」
とそうフュールに言うとフュールは、
「・・・お姉ちゃん・・・・・・もういいよ。」
と体をワナワナと振るわせながらそう言った。
「えっ?」
とそうアノートが驚いているとフュールは続けて、
「わかってるんだ。お姉ちゃんが最近元気がない
のはアラキさんがいないからだって。それと
ぼくの為に悲しい顔を見せないようにしてるのも。」
とフュールは悲しみに体をワナワナと振るわせながらそう言った。
「フュール・・・・・・。」
そんなフュールをアノートは優しく抱き寄せる。
「!もしかして、あそこまで粘って私をここに
連れてきた理由って・・・・・・。」
とそうアノートが驚きながらそう聞くとフュールは、
「うん。もしアラキさんがまたここに来れる
方法があるとするならば、ぼくの知っている中
ではネルフさんが一番よくわかりそうだし、
それにお姉ちゃんも一緒ならすぐにでも行動を
起こせるでしょ?」
とフュールはアノートを見ながらそう言った。
「・・・・・・。」
弟のフュールの優しさに無言になるアノートに
フュールは続けて、
「ぼくは・・・・・・お姉ちゃんにはいつもの明るい
お姉ちゃんに戻ってほしい。それにまた
アラキさんにも会いたい。だから・・・・・・。」
とアノートを見ながらそう言う。
「・・・・・・。」
弟のフュールの優しさにアノートは無言で
涙を流す。
「・・・いい弟を持って幸せですね。アノートさん。」
そんなアノートにネルフが優しく声を掛ける。
「うん・・・・・・。」
アノートは、涙を流しながらネルフに
返事を返す。
「ありがとねフュール・・・・・・。
そこまで心配してくれてたなんて・・・・・・。」
アノートは、涙を流しながら弟のフュールのいる方に
向き直ってそうお礼を言った。するとフュールが、
「お礼を言うのはまだ早いよお姉ちゃん。」
とアノートにそう言った。アノートは涙を流しながら、
「え・・・・・・。」
と言うとフュールは続けて、
「まだアラキさんが戻ってこれる方法がある
かすらわかってないんだから。」
とそう言った・・・。
アラキの大冒険Season2PART0序章その①に続く