テクノロジーは死者の夢を見るか
- カテゴリ:日記
- 2017/07/07 20:42:21
F1レースには、ずっとそれほど興味を持っていませんでした。若いころはラリーが好きだったし、自分で車に乗るようになったらなったで、お遊びながらも峠を走ったりサーキットを走ったりと車で遊んでいたもので、F1はあまりに現実離れをしていて、どことなく自分とは地続きに感じることが出来ていなかったのかもしれません。
それでも、彼のことは好きでした。
古舘伊知郎さんが命名した「音速の貴公子」という優雅な名前と裏腹に、当時ライバルだったナイジェル・マンセル同様、強引なギリギリの駆け引きをするレーサーでしたが、勝つか負けるかしかない世界ですから、やはりそういうファイターがいないと見ている方は面白くはありません。
1994年、彼がボローニャの眩しい日差しの中で、サーキットのコーナーに飲み込まれこの世を去った時、もちろん驚いたし、また悲しいとも思ったけれど、とは言えそれほどには特別な感慨を持ちはしませんでした。僕は彼が好きだったけど、やはりF1というものを含めて、それほどに思い入れはないのかなと、自分で思ったものです。
それから20年。
漆黒の夜の帳が降りた肌寒い鈴鹿サーキットを、世界最速と言われていた彼が、そのコースレコードを叩き出したまさにその時ままに、きらきらと輝く光跡と2万回転で回るエンジンの甲高い排気音を従え走り抜けて行きました。始めてその映像を目にした時に、ポロポロと涙がこぼれたことを、今でも覚えています。
Sound of Honda Ayrton Senna 1989
テクノロジーとは、このようなものであって欲しいと思います。
これで検索すれば見られますので、是非どうぞ。とても美しいと思いました。
まさか?!え?だいじょうぶ?だいじょうぶだよね????と、
とんでもない場面を目の当たりにして、鼓動が早まったのを覚えています。
もう20年なんだね。