記憶
- カテゴリ:小説/詩
- 2017/07/11 15:44:16
これは夢かもしれない
でも現実だった
小さな小さな切れ目が
それを現実に変えた
そして私は一人になった
本当はもっと早くから
そう思っていたに違いない
でも夢から覚めるのが嫌で
背中を向けていた
そして今日がやってきた
もっと早く気付いていたら
もっと悲しまずに済んだだろうか
そんなことでは測れない何かが
ふたりの歯車を壊した
そして時計は止まったまま
部屋の片隅でひざを抱えて
涙さえも浮かんでこない
暗闇が部屋に浮かぶ頃
動くことのないままで
あなたのアドレスを眺めていた
もうならない電話
もうかけられない電話
こんな便利なものがあるのに
何の手だてもないなんて
頬を伝う涙が一筋
辛かった
あなたの一言一言が
なんでこうなるの
私のどこが悪かったの
でもいけないことをしたのね
だから嫌いになったのね
教えてほしかった
あなたの去った理由を
次の恋が怖くなるから
でももう恋なんかしないかも
厭なことを引きずるのが嫌だから
部屋の隅で足を抱えたまま
まだここから抜け出せないけど
私の悪いこともわからないけど
また明日は来るけど
夏の日差しに包んでしまおう