『線路は続くよ』
- カテゴリ:30代以上
- 2017/08/07 08:32:17
# 天の川幻影
長い鉄橋を渡り、汽車が駅に着く
山の頂なのだろうか、雲海の中にぽつりと浮かぶ島に立つ小さな駅
ホームから辺りを見回せば、眼下に広がる雲海と、遙に霞む向こう岸
まるで・・・
「天の川みたいでしょう?」
ホームに作られた小さな売店から、店員が微笑む
「どうぞ、休んでいってくださいな」
売店の一角に、小さなカウンターと椅子がしつらえてある
進められるままに腰掛け、メニューを探す
お酒はあるのかな
「ありますよ。こちらがお薦めです」
透き通ったグラスに注がれた、半透明の濁り酒
「『天の川』って言うんです。今は無理ですけど、星空を透かして見ると、本当に天の川みたいに見えるんですよ」
頭上には、青空が広がっている
夜になれば、満天の星空なのだろう
「ここの星空は、本当に綺麗なんですよ。その星空に似合うようにって、家の人が作ったんです」
ここで?
見渡しても、小さな島には、建物はここだけだ
「ここにはいません。向こう岸のさらにその向こうで、たくさんの人が笑顔になれる、そんなお酒を造っています。それが夢だからって、旅だったんです」
一緒には行かなかったの?
「わたしには、わたしの想いがありましたから」
あなたの想い?
「様々な思いを抱いて、あちらの岸から向こうの岸に渡って行く人がいるんです。」
「ここは、その真ん中にある島。誰もが自分の来し方を振り返る場所」
「ひとりぼっちでは、寂しすぎるじゃありませんか」
あなたは・・・(寂しくないの?)
そう聞こうと思ったとき、後ろから車内販売員の声が聞こえた
「ここにいらしたんですね。もうじき発車の時刻ですよ」
わたしにこえをかけ
「こんにちは。もうじき星祭りですね」
店員さんと挨拶を交わす
顔見知りなのだろう
「こんにちは。ええ、もうじきです」
「旦那様と一年ぶりの再会ですね」
「今年もまた、妙なお酒を持ってこなければ良いけれど・・・」
笑いながら店員さんが言う
発車のベルが静かに鳴り響き、汽車が駅を出る
小さくなって行くホームで、店員さんがお客様の相手をしている
お客様の顔は、見えない
汽車は走り続ける
次はどんな景色に出会えるのだろう
つづく
(#^.^#)
いつもありがとう
ブログ、読んだよ
旦那様も、いつもこのくらい素直(?)に応じてくれれば良いのにね
(#^.^#)
うん
自分でも、書いていて飲みたくなったよ
(#^.^#)
大丈夫
車内販売にも、ちゃんとここで仕入れたお酒があります
お薦めは
イカスミ入り、銘酒暗黒星雲です
お味の保証はしませんが
(#^.^#)
いつも素敵なお話ですね…^^
大好きです…。
今回の「雲海を、見下ろせる…駅」もステキ~^^
売店に…お酒もしっかりあって…w
天の川を、見下ろしての「銘酒 天の川」を嗜む…良いですね^^
我が家も1年に1回…私のお誕生日が近い…この時期に…
夫とお食事に行きます…
夫は、嫌がって…渋々ですが…
『今年は、無しだ!』と言われると…
『あっそぉ~』と…
夫の過去の悪事(暴力を振るった事や…心臓をえぐる様な酷い言葉を言った事…)
を、言い…
OKさせました…w
(これって脅迫???w)
読んでいて、不思議な懐かしさめいたものも感じました。
半透明の濁り酒の『天の川』は、どんな味がするのでしょうね(^^)
彦星は酒つくってたのか…。
俺だったら、絶対、飲みすぎて列車に乗り遅れちゃいますねぇ。