銀河鉄道の夜
- カテゴリ:日記
- 2017/08/12 17:21:14
ジョバンニ「僕たちと一緒に乗って行こう。
僕たちどこまでだって行ける切符、持ってるんだ。」
女の子「だけどあたしたち、もうここで降りなけぁいけないのよ。
ここ天上へ行くとこなんだから。」
ジョバンニ「天上へなんか行かなくたっていいじゃないか!
僕たちここで天上よりももっといいとこをこさえなけぁいけないって
僕の先生が言ったよ。」
女の子「だって、おっかさんも行ってらっしゃるし、それに神さまが仰るんだわ。」
ジョバンニ「そんな神さま、うその神さまだ!」
女の子「あなたの神さま、うその神さまよ!」
ジョバンニ「そうじゃないよ」
家庭教師の青年「あなたの神さまって、どんな神さまですか?」
ジョバンニ「僕は本当はよく知りません。
けれども、そんなんでなしにほんとうのたった一人の神さまです。」
家庭教師の青年「本当の神さまは、もちろんたった一人です。」
ジョバンニ「ああ、そんなんでなしに、たった一人のほんとうのほんとうの神さまです。」
家庭教師の青年「だから、そうじゃありませんか。
わたくしは、あなた方がいまにそのほんとうの神さまの前に
わたくしたちとお会いになることを祈ります。」
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」より。
銀河鉄道に乗ってきた姉弟と、その家庭教師がサウザンクロス駅で降りる時のシーン。
(3人は、タイタニック号の沈没事故で死んだと思しき人物)
「○○を信じる!」と叫んで、周りの意見を聞かず、極論に走った挙句、その○○すら、裏切っている事に気付かない人達が中東の方にいますね。
家庭教師の青年のようでありたい、と思いますが、自分が常にそんな公平な態度をとれるかはかなり疑問。
せいぜい極論には、まともに相手にしないくらいでしょうか。(汗)
ところで、「銀河鉄道の夜」のカムパネルラは、死んでしまった賢治の妹トシらしいですね。
そのカムパネルラが突然、ジョバンニの前から姿をくらましたのは、「石炭袋」と呼ばれる暗黒星雲が見えた時。
「暗黒星雲」と聞くと、不気味な感じがしますが、実際は、恒星が新たに生まれる「ゆりかご」
賢治が「銀河鉄道の夜」を書いた頃は、そんな事まで分かってなかったですが、トシの生まれ変わりを信じたい気持ちが、図らずも後に判明した事実に沿う形になったのでしょうか。
解説本によると、第1次稿~第4次稿まであって(第4次稿が一般的に知られている版)、第1次~第3次は大きな違いがないらしいです。
扶桑社文庫で出ていた、ますむらひろしのマンガに第3次稿版の話も収録されていました。
>MOGさん
カムパネルラって、不思議な人物でしたね。
>カトリーヌさん
柔軟に、柔軟に、と思っている時点で、何かに囚われてしまっていますよね。
本当に難しいです。
柔軟な思考って難しいわ。。。
暗黒星雲って(↓)、本当はキレイなんですよね!
http://www.aritearu.com/Life/Sky/Hubble/M16.htm
聞くところによると、版によって少しずつ違っているとか。
そろそろ読み返そうかな。