名のない道へ
- カテゴリ:小説/詩
- 2017/08/29 15:18:35
今日という日を流している
それは明日も明後日もそうで
いつの間にかそれを感じなくなって
日々だけを流していて
思いを乗せる日を忘れていた
大切にすべきだった
それが当たり前だった
色々な思い出が心に刻まれて
流れ出すのに気付かなかった
それが二人の行く道だったのか
取り返しのできないことをした
ただの冗談だと思っていた
でも間違いだった
亀裂が入り始めたのは
あの頃かもしれない
もう会えないと知っていたら
一つ一つのシーンを大切にしたのに
もう一緒になれないと知っていたら
二人の手と手を強く握ったのに
それはもうかなわない
ありがとうが言えなかった
さようならが言えなかった
二人の日々はまだ続いているのに
たった一言さえもう届かない
いつか二人が別れるとしても
時計を逆回りにしても
濁った水しか見えない
遡ることはできない
いくら見つめていても
二人も影さえ見つからない
別れるのね
遠くに行くのね
後を追うことはできないけど
せめてその優しさを捨てないでいで
私を包んでくれたその優しさを