片想い
- カテゴリ:小説/詩
- 2017/08/31 13:21:40
都会のビルの蔭に
真っ赤に染まった太陽が沈んでいく
夏の暑さは少しも消えない
髪を切ったのはなぜ
風通をよくするため
それだけじゃないだろう
心がちくたく鳴る
愛の終わりを告げるように
なんだか昔の言い訳みたい
そんな理由があるわけでもない
あの人に結婚が決まった
取引先の彼女
いい子だって評判だった
会ったことは無いけれど
あの人にふさわしいに違いない
この何年か想った気持を
どこにしまおうか
どこに捨てようか
夏休みは彼女と過ごしたのね
こんな邪推はしたくない
一人でした恋心だった
誰にも言わなかった
だからみんなで祝福をささげる
自分の涙も笑顔も隠して
あふれだすのをこらえなきゃいけない
もう少し恋心があったら
もう少し勇気があったら
打ち明けらられただろうか
でももう彼女がいたに違いない
崩れ落ちていく想いが一つ
これからもまだ一緒に仕事をする
彼に転勤の辞令があるまでは
髪を切ったのは彼のせいじゃない
風通しをよくするため
悲しい想いを飛ばすため
夕日にすべてを燃やすため