【お話】人魚姫の恋の呪文
- カテゴリ:コーデ広場
- 2017/09/06 22:19:11
宝箱の中には、海の歌。人魚姫の恋の呪文が、隠されているよ。
もらったステキコーデ♪:3
海の底、海流が静かに凪いだ、洞窟で、
秘密の宝箱を見つけた。
人魚が隠した、宝物。
中にあったのは、歌と涙。
人魚の秘密の恋の呪文。
「王子様 どうか」
澄んだ星空から流れ落ちる力と、
人の魂への憧れと。
甘く、熱く、痛みを持った心臓の高鳴りが、
そこにはひっそりと、隠されていた。
「王子様 どうか」
かなわない恋の、それでもその先にある愛情を夢見て、
人魚姫は、大気の世界へと消え去った。
「どうか。どうか……あなたに幸があるように。
王子様。どうか。お幸せに」
残されたきらめき。
痛みとともに、熱と甘さを含んだ歌。
それを、ただ美しいと。そう思わずにはいられなかった。
***
アンデルセンの人魚姫。どこかフーケーの水妖記、ウンディーネの話に似ています。
人ならぬものが、魂に憬れる。人間になりたいと願う。
人間になるためには、深い愛情をもって人間と結びつかなければならない、という。
ウンディーネは人間になれましたが、夫に裏切られる。
人魚姫は人間になることはできず、泡になりますが、大気の娘に変化して、地上に祝福を運ぶものとなります。
どちらも悲劇の部分があり、どちらも幸せを考える部分があるな、と。
しかし、人魚姫の王子様は、朴念仁すぎないか、とも思う。あなたが好きっという女の子がすぐ側にいるのに、気づかないうえ、別の女の子と結婚するから、祝福してねっ! と、堂々と言ってくる。ちょっとひどすぎないか。