【源氏？】クロスオーバー プロローグ 鏑木
- カテゴリ：自作小説
- 2017/10/20 19:57:38
リレー形式で綴る平安クロスオーバーの序章。 トップバッター行かせていただきます。
*.....*.....*
きりきりきり
引かれる弦（つる）が音を立てる。
ギャラリーを入れれば100人以上が観戦をしているこの弓道場に
他の音は一切しない。
風さえも止み、人々は呼吸すら忘れたように一切の動きを止めていた。
この緊張した空間で鏑木は己と向き合っている。
柔道、剣道が「動」のスポーツだとすると
弓道は「静」の、戦う相手がいないスポーツである。
正射必中（せいしゃひっちゅう）という言葉がある。
礼節を守り、正しく体躯を作り、心を静め、己と向き合い、
それを高め、正しい射法で射られた矢は必ず的に当たる
という意味である。
西洋のアーチェリーとの違いは
弓の長さや材質などの違いはもちろんだが
最大の違いは スコープ（照準器）がついた弓で
「どこに当てたか」で競う点数勝負であるアーチェリーと、
照準器がなく、己の感覚のみで「当てる」のが和弓。
鍛錬がきちんとできていれば自分がどれくらいの力で引くべきか
体が真に正しい姿勢を取れているのかわかるものだ。
弦が耳の位置を超え、矢が口の高さまで引かれると
きりきりと鳴っていた弦の音が止まる。
目は半眼のまま。
的だけを見据えている。
静寂。
弓手（ゆんで 左手）で離れを誘う。
左手で弓を押し続け、右手で弦を引ききると
気力が丹田（おへその下あたり）に集まり
その時がやってくる。
びんっ
鹿革のかけ（プロテクタ）にかかっていた弦が
音をたて、つがえていた矢を押し出す。
弓は握らず左手で押さえているだけなので
右手でねじっていた弦を離した途端に外側に力が加わり
きれいに弧を描きながら矢を押し出して
放った後は弓の弦は弓手の後ろ側に回っている。
同時に弓は重力で下方向へ落ちるので
矢を放った後にぎゅっと握るため 最初に持っていた位置よりも
少し上を握っているのが 正しい。
これがきちんとできていないとどうなるか？
弦がほほや胸や腕を強打しながら元に戻るので
ひどい蚯蚓腫れになる上に、矢はまっすぐ飛ばず失速して
ひどくはずかしい想いをする。
ぱん。
的に中った矢は乾いた音を立てて止まった。
ギャラリーがやっと呼吸を始め、ほぉとつく息の音が聞こえる。
鏑木は弓を戻し、軽く礼をして床に膝をつく姿勢を取り
次の自分の順番を待つ。
この流れるような美しい所作も競技のうち。
声を出すことも、ガッツポーズも許されない。
競技はひとり4本づつ、2セット射ることができ
8本全部当てることを皆中（かいちゅう）と呼ぶ。
照準器のないこれを全部当てるのは実は難しい。
皆中を成し遂げた者に称賛の拍手が贈られるのだが
これは全部当てたことよりも、正射必中を実践した
その精神力の高さを称えらえるのだ。
鏑木は、弓が武器であった悠久の時に想いを馳せる。
獲物を、または敵である人間を狙う武器。
鏑木は高校から弓道を何気なく始めたのだが
最近思うことがある。
弓を頭上にあげ、半分引いて止めた後、弦を引き
的を狙うまでの間、的しか見ていないのであるが
誰かの気持ちと心が解け合っていく不思議な感覚に見舞われる。
心を静かに的を狙っているのは同じだが
その根底に熱い想いが感じられ
気が満ちたその時 その誰かの「いまだ」という想いが
鏑木の右手を動かしている。
その誰かはおそらくとても大切な人々を護るため
渾身の力で弦を引き的を狙っているのだろう。
恐ろしくはない。
その熱い想いはうまく鏑木の心とシンクロできているからだ。
前の選手が矢を放った。
次は自分の番であり、チームの最終競技者でもある。
この一本を入れれば、チームは優勝、自分も個人優勝するであろうが
それを考えてはいけない。
驕った気持ちと、勝ちを焦る気持ちが宿ると
おもしろい様に矢は的を外すのだ。
正射必中。
鏑木は心を静め、流れるような所作で弦を引く。
きりきりきり
音の全くしない緊張した空間で、弦だけが音を立てる。
気力が満ちるのがわかる。
きり
と渾身の力であと少しだけ引き動きを止める。
悠久の時を超えた何者かの思念が いまだと語り掛ける。
びんっ
矢は放たれ空気を切り裂いた。
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～共有物語企画～
源氏遊び
https://genji2017.blogspot.jp/
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鏑木（かぶらぎ） 弓道部ホープ 黒沢大和
*.....*.....*
クリスタルさん、ミュミュさんの発案で始まる平安クロスオーバー。
トップバッターを新参者の鏑木がつとめさせていただきます。
この放たれた矢が 次はエメラルドさまのところへ届く予定です。
道着または武者っぽいコーデがしたかったのですが
アイテムがーーーっｗ
ちょっと解説長すぎてすみません。
弓を引き矢を射る所作が見たいかたは全日本弓道連盟の
ウェブサイトのオープニングを見ていただくとわかるかと。
http://www.kyudo.jp/
おーっ 七リィさんに読んでいただけるとは！
弓道二段なんですけど、その知識を披露するチャンスなんて
ニコタじゃなさそうだと思ってたんですけど
なんとクロスオーバーで使えましたーっｗ
ありがたや！
当てたいと思うとはずれるんですよｗｗ
すごく難しいんです。
緊張感を書きたかったので、伝わってたらうれしいなぁ。
街中で和弓を持ってる方をお見かけしては かこいい…☆ と憧れてました。
大学には弓道場あったのにな 見学だけでもすればよかった…
読みながら いやこれは付け焼き刃な知識では書けないぞ って思ってたら
やっぱり有段者さんだった！
ひああああ かっこいいいよおおお( *´艸｀)❤
心の揺れが すぐ矢に伝わりそうで… 考えるとすごい武器ですよね。
馬に乗りながら射るとか どうなってるんだろう ( д) ﾟ ﾟﾒｶﾞﾎﾟｰﾝ
この緊張感は弓道をやっていた人しか知らないものなんですよ。
心を落ちつけてじっと的だけを見てる。
他のものは見えなくなるくらいの集中力が必要です。
早く手を放してしまいたい衝動と戦いながら引き絞るんです。
「その時」が来るまでね。
たっぷり引ききって放った矢が的に吸い込まれるように飛んだときは
それはそれは清々しい気持ちになる。
とても美しいんですよ。
読み返してくださって、ありがとう！！！
何度読んでも引き締まる
おおっ 九重さんですねっ！
ようこそいらっしゃいました。
長い長い話になっちゃった平晏クロスオーバーですｗｗ
一応、ここがプロローグです。
足跡は気にしませんし、ご挨拶なくても大丈夫なんで
読みに来てください。
このあとまた第何章だっけな？どっかでも鏑木出てきますんで。
「どこが物語のはじめなの？」とあちこちウロウロしてます（＾＾；
お話読んでて「前後どうだっけ？」と読み返しなどで
時々足跡だけついてるかもですが
どうぞお気になさらないでいただけたら、と（＾＾；；
本当に助かりました！
こういうコーデをする日がくるとか思ってなかったので
まったくのスルーでしたーｗｗ
サクちゃんには感謝なのです。
またお願いすることがあるかもしれません。
宜しくね❤
（（(*⌒―⌒*)））うんうん またいつでも言って(◕. ◡｡)ﾈｪｰ
お役に立てたみたいで良かった～♪（ღ◕ ‿ ◕ღ）
(人-ω-)｡o.ﾟ｡*･★おやすみなさ～い★･*｡ﾟo｡
応募しました！
本当にありがとう！！！
またお借りする時がくるかもしれません。
次のひな祭りの時に冠としゃくが出てくれるといいんだけどね。
ここに失礼(｡uωu))ﾍﾟｺﾘ
0：11 スミレパンツ 出品しました
何でもよく似合うYくんへ
Mより
いつでもいいから(◕. ◡｡)ﾈｪｰ
お風呂(ノ*゜ー゜)ﾉ゜☆ｲｯﾃｷﾏｰｽ☆ ←おそっｗ
読んでくださってありがとうございます。
静寂と緊張感を書きたかったので
感じ取ってくださって本当に嬉しいです。
弓道って儀式っぽいんですよ。
でもその様式美が凛々しくて清々しくて良いところです。
まだ名乗りを上げてない書ける方たちがいるので
どうかなと思いましたが、❧響さんには断られましたし
いろいろミュミュが凹んでるんでｗｗ
そこは代わりに書くことにします。
静寂、いいですね。
矢の飛ぶ音が、実際に聞こえてくるような緊迫感に息を呑みました。
ついでにいっぺん書いた連中に二巡目を回すという手もあるな
打診してみるか
そうですね。
気楽にいきます。
どっかで挟まるかもしれませんｗ
リアル弓道二段の経験がやっと生かせましたｗｗ
ミュミュの方の話の最初にちょこっと弓道シーンを入れるかなとも
思ってたんだけど、そもそも弓道やってるって設定じゃないしなｗ
それで、鏑木を登場させることになったついでに
弓道の試合だけの話でも書いてみようかと。
この弓の話はまた平安クロスオーバーの中で出そうと思ってます。
特殊なスポーツですからねぇ、弓道。
男子も女子も凛々しく見えるので、3割増しくらいでもてますよｗ
気楽にいこう
ここから始まっていたのですねー
リアル弓道二段すばらしい
和弓は所作が凛々しいので
小さいころから憧れでした(´∀｀*)ﾎﾟｯ
いとこだからね、子供の頃のエピソードとかも書けそうだ！！！
弓道って、ものすごく儀式っぽいんですよｗ
声も出さない（声援を送るタイミングも限られてる）ので
このお話はただただ説明だけなんです。
でも書きたかったのは 静かな緊張した空気の中に響く
きりきりっていう弦の音と、打ち出すときの音、それに的に当たった時の音。
そして、これから平安クロスオーバーに繋がる1000年前の人の心が
流れ込んでくる感じ かな。
この矢が1000年前の都に届くのです。
是非試合も見に来てねー♪
カフェに行った時はほんわかで話しやすかったから
こんなカッコイイ一面を見ちゃうと
小春は顔が真っ赤になって無言になっているに違いない( *´艸｀)
弓道かっこいい❤
先日行ったライブ会場の横に弓道場があって
高校生の大会が開かれていて
ついつい眺めてました。
女子も男子もかっこよかった！！！
お話を読ませて頂いて、音も伝わってきた＾＾
おおっ そうだったかーーっ
ＹＵちゃんも弓道経験者だったのか。
弓道の試合ってすごく儀式っぽいよねー
それがまた不思議な感じで魅力でもあるけど。
ＹＵちゃんの夢見ちゃんは従妹っていう設定なので
またスイーツ食べに行ったり（露草ちゃんと小春ちゃんも誘おう）
遊べるねー！
よろしくね。
うははっ
試合中はクールでしょ？
いつもはのほほんとした普通の高校生なんだけどね。
強い弓を引くためには
ちゃんと体を鍛えなきゃいけないんですよ。
だから静のスポーツなのに、ちゃんと走ってましたよｗｗ
腹筋とか背筋とかもーー
またスイーツ食べに行こうねー♪
わーい 楽しみにです！
伺いますね！！！
YUも。。大学の時に弓道を嗜んでましたｗ
試合にも出場してました＾＾
心技体が一致してこその的中ですよね
読んでて。。懐かしくなりましたｗ＾＾
鏑木君。。モッチダ～♪＾＾ｗ
露草。。。惚れてしまいますぅ～ｗｗｗ
大学時代の友達が弓道部だったけどぉ。。。弓を引くのにも弓との相性があるらしくて
背筋腹筋を日々、鍛えていましたね～＾＾鏑木くんもそうなのかなぁ～ｗ
そうか、良かったｗ
アーチェリーはもちろんフォームとかちゃんとあって
かっこいいことはかっこいいんだけど、
まぁ 射撃とかと同じだよね 精神論は言われないｗ
的の真ん中にあてるだけ。
ラクチンなスポーツですわ。
イロコイの方じゃない＾＾
アーチェリーもあれはあれで様式美あるんだろうが
和弓の方は道だしね。
同じ的を狙って射るでもまったく別物だよな。
アーチェリーはダーツと通づるとこあるんじゃないかと思う。
そそ 弓道経験者です。
武道はいいねぇ！
凜として美しいんだよねー。
なんせほらっ 武士道とか騎士道とか大好きなやつなんで
こういう精神的なやつ 好みなんですよｗ
弓道は精神的なモノと所作を重要視してますからねぇ
アメリカ人だからって奇抜なかっこうは冒涜かなぁ。
まぁ お祭り感覚なら良いのでしょうけどね。
弓道の試合ってもうなんかの儀式みたいなんですよっｗ
応援の人たちが声をかけていい時間もすごく短くて
あとはもう音楽も台詞もない能とか見せられてるみないな感じですっｗ
無事に書けて良かったｗ
えｗ クリスタルさん、もっと気楽なやつにしたほうがよかったー？？？
そうそう 弓道二段なんですよ。
だから何だ？って言われると終わっちゃうんだけどっｗ
高校では二段までしか取れないので、一応がんばったほうなんですよ。
描写を褒めていただいてありがとうございます！
緊張感を書きたかったので、その辺が感じられたらうれしいかなぁ。
へ～ 弓道経験者なのね
ダーの友達は今もやっていて（そこそこの年齢）もちろん大会にも出てるわ
洋の物も好きだけど キリと引き締まる武道は良いよね
先日あった流鏑馬をテレビで見てて揚装束にカウボーイハットの射手がいたようで
ちょっとこれは冒涜だよな と思った （ ↑ アメリカ人らしいが）
冒頭が格式高いので思ったよりも気を引き締めて書くことにしたw
弓道やってたのは知ってたから、さすがの描写って
思いましたが。
剣道はさそわれたことがあるけど、あれは臭いからなー（笑）
まさに日本的な精神の武道です。
おおっ 品性♪ お褒めいただきありがとうございます！！
なんとか平安クロスオーバーを始めることができました！！
この矢が平安の天満宮に届く という流れになるというところまでが
決まっておりました。
さぁて この後どうなっていくのでしょう！！！
楽しみですね！！！
品性を感じる素晴らしい描写です＾＾
始まりました！平安クロスオーバー
皮切りは清々しくも清浄な空気を孕んだ射手から
引き締まる緊張感がまっすぐ平安の天満宮に届きます
つづきは明日書きますね〜
わぁい 読んでくださってありがとうございます！！
そそ 静のスポーツと言われてて
ものすごく作法に煩くて 嬉しそうな顔も悔しそうな顔もしちゃだめなんですｗｗ
能面みたいに静かな顔してないとねー
ましてやガッツポーズとか よっしゃーとか言えないっていうｗｗ
ただただ気を静めて、その時を待つ って感じで 爺かよっと
高校生は思うのだな_(L〃_ _)ﾉｼﾊﾞﾝﾊﾞﾝﾊﾞﾝ‼
弓道は静の武道なんだねぇ。なんか気が引き締まる思いがした＾＾
そう言っていただけてありがたいです！
ちょっと説明うざいかなぁと思ったんですけどｗｗ
ある程度説明が必要かなぁ、と。
あぁ、その通りです。
それこそ道場に入るところからすり足で能とか狂言みたいですよ。
3人とか、5人とかで１チームなんですが、呼吸を合わせて動きをシンクロさせます。
射るのは順番にひとりづつだけどねｗｗ
なんっていうか儀式的な感じです。
緊張感を書きたかったんです。
書けたかなぁ
良い物読めて、僕のモジクイがほくほくしてます。
↓弓道２段、すごいなぁ。
弓道には独特の精神論というか、研ぎ澄まされた美しさがあって
あこがれてしまいます。
リアルで弓道二段なんです。
いつか弓道がらみの話を書きたいと思いつつ
どこで使ったらいいのかわからないまま
今日に至りました。
リアル弓道二段だって話をクリスタルさんにしたら
じゃぁ出だしはそれでってことになりましたー。
えっｗ 俺、そっち方面に興味はないんでっｗｗ
リアル弓道二段なんですよ。
西洋のアーチェリーも大学の体育で3か月くらいやったことありますが
和弓とは似て非なるものでした。
精神性とか全くないｗｗ
ぽんぽん当てちゃえば勝ちーっみたいなやつで つまんなかったなー。
はやっｗｗ
＞嚆矢
スルーしちゃったんで書きなおしｗｗ
嚆矢（こうし）物事の始まりの合図ですねっ
まさに！です
日本の武道はどれも精神性が重要視されますよね。
元々弓道の素養がございましたのね。
さすがです。
ン十年前、成人式だけ京都府民になれないものかとマジで思ってました。
(おなごだけ三十三間堂脇で弓やるのよね)
実際は遊園地の弓矢くらいしかやったことないんだけど
弓道大好きで出てくるお話読んでは萌ておりやした。
まさかこんなリアルな描写をニコタで読めるとは！！
鏑木、俺、お前に惚れたぜ！！！