『線路は続くよ』
- カテゴリ:30代以上
- 2017/11/01 20:17:01
# 北風と少女
汽車が駅に着く
木枯らしが舞うホーム
汽車から降りた車内販売員に、小さな女の子がかけてくる
「アイスクリーム下さいな」
女の子が一生懸命な顔で言います
「こんな寒い日にアイスなんか食べて大丈夫ですか」
販売員が言います
「平気だよ。電車の中は暖かいもん」
「そうですか。じゃあ落とさないようにして下さいね」
「うん!」
大きく頷いて、販売員からアイスを受け取る女の子
「わ~い」
両手を挙げて駆け出そうとしたとき、強い北風がホームを駆け抜けました
「あ」
突然軽くなった右手を、恐る恐る見上げる女の子
そこには、アイスの棒だけが握られていました
「わ~ん。北風さんがアイスとっちゃったよ~」
泣き出す女の子
「北風のバカ~」
「ほらほら、泣かないで。アイスの棒をよく見てくださいな」
販売員が言います
女の子が、握りしめた棒をみると、そこには『あたり』の文字が書かれていました
「あっ、あたりだ」
「はい、当たりが出たからもう一本。今度は落とさないでね」
女の子は大きく頷くと、今度は大事そうに胸の前で握りしめます
「落としたアイスを踏まないようにしてね。気をつけていって下さい」
販売員の声に、足元に落ちてるアイスを見下ろす少女
「蟻さんだ」
落としたアイスに、一匹の蟻がよってきました
「蟻さんもアイス好きだもんね~。北風さんは、蟻さんにアイスをあげようとしたのかな」
「そうかもしれませんね」
「きっとそうだよ。北風さん、さっきはバカなんて言ってごめんなさい」
少女が頭を下げると、今度は緩やかな風が、ホームの落ち葉を舞い上がらせました
発車のベルが鳴り、汽車がホームを出る
「当たりが出て良かったね」
汽車に戻った販売員に声をかける
販売員が少しいたずらっぽく笑って言う
「実はあのアイス、全部あたりなんですよ。アイスを落とすのって、この世の終わりに匹敵するくらい哀しいですからね」
汽車は走り続ける
次はどんな景色に出会えるのだろう
つづく
(#^.^#)
最初は「寒そう」と思いながら…読んでいて…
更に少女が、「アイスクリームくださいな」と言った時は…
PCの前で『寒くないか?』と突っ込みましたが…w
北風さんの真意がわかって、
暖かい気持ちになりました。
本当にお話を作るのが、上手いですね^^
私事ですが…我が家も…長年~家の中のアリさんに悩んでいましたが…
2年前程に…諦めて『共存』を、する事に決めて…
アリさんが好きそうな食べ物を、アリさんが出て来る
TVの裏側の近くに置くようにしてましたw
今年は、気温の高低差が、酷いのか…女王アリさんが、寿命だったのか…出て来なかったです。