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#006 ロボットにおけるUXデザイン(中編)

2. ロボットが人に求められること


自分は、ロボットのデザインをしたいと考えている。今後、人間社会に
ロボットが進出してくる時代に「人とロボットの付き合い方」について
提案できるデザイナーになりたいと思う。先ほど考えた点から、ロボッ
トほどUXデザインを必要とされる製品はないように思う。  

以前、首都大学東京(システムデザイン教授)でロボット工学を専門と
されている和田一義先生に、ロボットはいつ製品として世に出回るのか。
という質問をさせていただいたことがある。

「ロボットがロボットと呼ばれている間は、そういった時代は来ない」
というのが先生の回答だった。なるほどな、と思った。つまり製品化され
たロボットには別の名前がつくのだ。例えば、ベルトコンベアーやエレベ
ーター。これらも元はロボット工学の畑で生まれたものだ。技術と需要が
組み合わさって初めてロボットは製品としての名前を与えられるのだと知
った。確かにロボットという言葉には、パッとしたイメージがない。なん
となく未来のもの、便利なもの、人間の脅威となるもの、冷たいもの、硬
いもの、というようにあくまでイメージでしかない。

SONYのAIBOやSoftBankのpepperはそのイメージを無理やり具現化させ
たような姿に思える。そう思えるのはエレベーターのように明快な用途があ
って生み出されたものではないからだ。形を犬や人に模して作られた彼らは、
常に本物と比べられてしまう。となるとせっかくロボットならではの機能も、
比較の目を向けられた瞬間にノイズになってしまう。pepperと話した時、
彼の顔を見て話せばいいのか、それともディスプレーに向かって話せばいい
のかわからなかった。だってディスプレーの方が表情が豊かだし、  表情が
固まった顔面とは目が合わせにくい。

授業の中で、 AIBOの新型がリアル志向になったことについて、「旧型のSF
チックなイメージと新型のイメージ、どちらが人と共存するロボットにとっ
てふさわしい姿なのか?というSONY側の現代社会に向けた問いかけだと思
う」と自分は答えた。  正直に言って、以下の理由から自分は新しいAIBOも
古いAIBOもさほど好きじゃない。  ロボットにはロボットにしかできないこ
とをやらせるべきだ、というのが自分の主張だ。犬に変わるようなペットロ
ボを新たに作ればいいのではないか。と思ってしまう。

小学生の時に、地元で愛知万博が開催された。 企業パビリオンではロボット
のマーチバンドが演奏したり、 ヒューマンロボットによる観光案内所があっ
たりとして、存分にロボット技術の最先端に触れることができた。 それと同
時に、これが自分がヒト型ロボットに見切りをつけるきっかけとなった。

当時トヨタの研究所で働く母が、 NECが開発してる「PaPeRo」というパー
ソナリティーロボットのデモビデオを借りて見せてくれた。自分はそのビデ
オに釘付けになり、とうとう母に会社からそのビデオを買い取ってもらった。

そのロボットのデザインは、なんとも形容し難いボディーに生物らしいパー
ツは大きな黒い点が二つのみ。デモ映像に流れていた複数の「PaPeRo」が
コミュニケーションを取る様子はとても新鮮だった。特に目立ったギミック
はないが、いまいちパッとしないヒト型ロボットよりもよっぽど挑戦的だっ
た。

結局、どんな形ではなくどんな体験をもたらすかでロボットの価値は決まる
のだと思った。何かの代用品ではなく、ロボットがロボットとして求めえら
れるようになるにはUXデザインが不可欠という結論に至った。

#007 ロボットにおけるUXデザイン(後編) につづく
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=471509&aid=65243130





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