冬枯れ
- カテゴリ:自作小説
- 2017/12/16 08:45:11
冬枯れの町は寂しい
街路樹もその葉を落として
芽生える時を待っている
その日はまだ遠く
冷たい風が心に響く
幾度季節を送ったことだろう
明るい春
まぶしい夏
枯葉の秋
寒風の冬
その度に微笑んでいた二人
ずっと続くと思っていた
繰り返す季節の中で
二人を切り離すものはなく
それだけが幸せだった
でもここにあなたはいない
何故だろう 涙も出ない
思い切り泣いた後で街に出ても
心の中は空洞で
あなたの入る隙間もない
外を眺めると
散り忘れた枯葉が一枚
それも寒さに散っていくことだろう
必死でその時を待っているようで
悲しい自分に重ね合わせる
もう少しあなたといたら
もっと違ったかもしれない
でもすり切れた糸を継ぎ足しても
愛は戻ってこない
それを知っているのは二人だけ
短くなった冬の黄昏に
あなたは何を想うことだろう
もうそれは計り知れなけど
あの日を思い出しているのか
心の中で消えてしまったのか
包んでくれたあなたの胸も
繋いでくれたあなたの手も
もう帰れない時だけど
まだ感触は残っている
まだ愛は残っている
さあ帰ろう
何もない心の中だけど
暗い部屋を明るくして
持ち帰った木の葉を拾って
思い出の小箱にしまおう
そうですね。そういうこともあるかも。
でも別れたことのわだかまりはどうなるのかな?