初雪
- カテゴリ:小説/詩
- 2017/12/17 11:01:37
年に1度しか得っていない田舎から
初雪の便りが届いた
あなたは今頃
どこで寒さを見ているのだろう
心には白い隙間風
あなたからの便りはない
当たり前のこと
あの時見送ったあなたの背中
それもまた冷たかった
最期の抱擁も冷たかった
白い息が流れていく
寒いねって言ったのに
春が来るといいねって言ったのに
そう言ったあなたはもういない
冷たい手を温めてくれたのに
いつものカフェに身を寄せれば
そこは温かな空間
いつの間にかコーヒーも冷めて
流れる音楽が恨めしい
向かいの席は空いたまま
こんなはずじゃなかった
そんな言い訳をしてみても
行ってしまった人は帰ってこない
何がいけなかったんだろう
探ってみても無意味なだけ
明日は田舎へ帰ろう
あなたに見せたかったあの町へ
そして作り笑いをする
あなたのことを胸に抱いたままで
初雪の大地を踏みに行こう