女子的生活 感想文
- カテゴリ:テレビ
- 2018/01/20 17:17:11
女子的生活 第3回
NHK 金曜夜10時~
▼がんばらない
今回は、みきが故郷の町に住んでいる女性に、仕事の都合で会いに行かなければならなくなり、
そこで偶然家族と再会するというストーリーでした。
前半は、コンテストで優勝し商品化目前のデザインが、ネットに発表されている他のデザイナーの盗用と分かり、
商品の製造に漕ぎ着けるため、そのデザイナーと契約しようと、みきが会いに行くお話。
そのデザイナーは、母親の元を離れられずニート生活を送っているアラサーの女性で、
契約を無事すませた後、みきはつい上から、母親の元を離れた方がいいとアドバイスしてしまいます。
しかし別れ際に待っていたのは意外な展開。
その女性はみきが男性であることを見抜き、「がんばって下さい」などと、今度は上から応援されてしまうのです。
自分が一度は下に見た女性に、上から目線で声をかけられたことに、みきは苛立ちます。
その時彼女が何を思ったかは詳しく語られませんでしたが、予想してみると、
親から離れられないニート風情に同情されるほど、自分が男であることはネックになるのかってとこでしょうか。
もしみきが普通の女性なら、都会のアパレル業界で仕事をしている若くてルックスのよい女性であり、
田舎のデザイナー志望の女性から見ると、完璧な憧れとなるはずなのです。
しかしみきが男であるということだけで、それが逆転してしまうのは、世知辛いとしか言いようがないですね。
気をつけるべきは、何でも応援すればいいってもんじゃないことです。
がんばれって言われても、みきは何をがんばればいいのでしょう。
みきは今、自分の好きなように生きているだけであり、男として振舞っていた時の方が、
がんばらなければならないことは多かったはずです。
▼家族との再会
みきが故郷に帰ると聞いて、後藤は何となく心配になって自分も帰郷します。
雪で電車が不通になり、どうしようかと言っている時に、偶然駅でみきの父親・富生と偶然再会してしまうのです。
私は、みきは家族にカミングアウトしてないものと思っていましたが、本当にふわっと知らせていたのですね。
富生は女性の姿のみきに驚きはしませんでしたが、感慨深げにみきに「おかえり」と言います。
どうやら彼はみきのことを容認しているようですね。
問題は兄。
父親を車で迎えに来たみきの兄は、彼らが話している喫茶店に怒鳴り込んできたのです。
兄は町役場だか市役所で公務員として働いており、こういうプライバシーがない旧弊的な町で、
こういう弟がいると知れ渡ると、いろいろと不都合があるのでしょうね。
都会ではかなりオープンになってきましたが、田舎でのLGBTへの差別はまだ厳しい状況です。
どちらの気持ちもよくわかる、どちらとも悪くない、悪者がいるとしたら、それは社会。
みきを悪し様に罵り、後藤をみきの恋人と勘違いし殴りかかった兄でしたが、
女を殴るんじゃない、息子の幸せを願わない父親がどこにいるという富生の言葉に、その場は何とかなったようです。
ただその前にみきは兄をグーパンしてましたけどねw
最後に富生はみきを「みき」と呼びました。
これはみきにとって、かなりの収穫だったのではないでしょうか。
▼後藤の存在
今回は予想通り、かなりハードな展開になりましたが、思ったほどドロドロしませんでした。
というのも、後藤の存在がかなり利いていると思うのです。
彼自身は金に困ってたり、トイレをウンコで詰まらせたり、部屋をちらかしたり、
いつもヘラヘラしていて、頼りない感じなのですが、等身大という感じの青年です。
どんなにかっこよくても、よほど人物ができているか、よほどの変人、悪人でない限り、
この年代の男性の中身って、このくらいが平均でしょう。
ヘラヘラしている分、人当たりがよくて、あまり主義主張せず、子供っぽいところはあるけど、
ごくたまに頼もしかったり、人を思いやることができる、そして前向きな青年。
最初はピンとこない人だなぁと思ってましたけど、ハードなシーンの緩和剤になってるんですよね。
みきが家族と向かい合うというシーンで、後藤はただの同居人なのに、
恋人だと疑われたところで、つい笑ってしまいました。
後藤は、男性がこのドラマを見る時の代理人であるとともに、この世代の社会の代弁者でもあり、
ドラマがあまり重くなり過ぎないための緩和剤でもあるという、実に重要な役だったんですね。
4回しかないのがちょっと惜しいです。
もう次は最終回ですね~