風花
- カテゴリ:小説/詩
- 2018/01/30 15:34:30
一緒にくぐった花吹雪の川べり
一緒にたわむれた焼け付く砂浜
一緒に歩いた落ち葉の道
一緒に見た海岸線から出る太陽
そして
三度目の冬 あなたはいなかった
こういうことを長すぎた春というのだろうか
私達にとってこれは
長すぎたというものではない
ただ季節が静かに回っただけ
今までの日々に
何を残し何を拾っただろう
それはひたむきな愛
悲しみのかけらをそっと置いて
あなただけを見つめられれば良かった
あなたもきっとそうだろう
でも私に足りないものがあったのね
こんなに愛していたのに
お別れするなんて
せめてそれを教えてほしかった
三つ又の木
冬の終わりに小さな黄色の花をつける
一緒に住むようになったら
これを植えようねって言ったのに
もうかなわない夢物語
さようなら あなた
追い続けていきたい
でもそれはあなたを苦しめる
だからここで見送るわ
三度目の冬の風花を追って