拾遺
- カテゴリ:日記
- 2018/02/12 20:08:26
生産場所の特定は難しく無かった。
車両の自動組立工場は多くは無い。
工場に残る発注記録を見つけ出してゆく。
ほとんどが国内調達部品で作られてゆく車両の群れの中に、
異質なものが混じっていれば目立つのは道理だ。
特注で組立られている車両は、ラインから外れて
特別な工程で部品が組み付けられている。
量産ライン自体が、発注元の数量が多いものに合わせて、
柔軟にライン自体の組み合わせが変わってゆく。
そこに収まり切れないモノについては、
ほぼ別室で時間を掛けて組立られる。
特注部品の調達に時間が掛かるものは、
長い時間放置され、飛び飛びの短い時間で組立が進むために、
記録時間が分散されて、他の生産記録に埋もれて
見つけ出すことが困難になる。
…意図的に?
最終段階の出荷検査さえも、数度に渡り不合格が記録され、
改良設計され、部品が調達されるまで、長い時間が空く。
最終検査合格の記録の下から、やっと連続した記録が残り、
出来上がった車両の全体像が判る。
出荷と言っても、AI車両は予めプログラムされた納品先へ
自力で移動して行く。
工場の門を出てゆく車両の映像が残っていたが、
ネット経由で車両にダウンロードされた、プログラムは、
発注者の所有であり、工場設備内には一切残っていない。
どこへ向かって行ったのか、誰が発注したのか、残って居なかった。
世界中から集められた部品の製作会社に残された、発注者の情報も、
幾つもの会社を経て、最初の発注元は隠されてしまう。
幾つもの構成部品を洗い出し、機能を類推して車両の能力を計る。
目的はなんだったのか。