バレンタインデー
- カテゴリ:自作小説
- 2018/02/14 16:51:48
「これで今年もチョコ0こ回避できた!ありがとう先生!」
「どういたしまして!ハッピーバレンタイン!」
そういって嬉しそうにチョコをもって立ち去る男子生徒に小さく手を振る。
今日は2月14日バレンタインデー
一般的には女の子が好きな男の子にチョコレートで思いを伝える素敵な日であるが
普段からお菓子作りが好きな私にとっては皆に手作りのチョコを振舞う日である。
「後渡していないのは・・・えーと・・・」
そういって私は紙の束を取り出す。
私はこの魔法学園の先生でこの時期になると
毎年先生生徒全員に手作りチョコを配るのが毎年恒例になっている。
最初は先生も生徒も少なかったこの学園も
だんだん規模が大きくなり全員にチョコを配るだけでも少々大変になってきた。
配り忘れたら申し訳ないのでこうやってリストを作って確認しつつ配ってる。
「相変わらず律儀だにゃ」
声が聞こえるほうを振り返ると一匹の黒猫がいた。
「神羅ちゃん!今日は朱音ちゃんは一緒じゃないの?」
「朱音ならあそこにいるにゃ」
しゃべる黒猫である神羅が指したほうこうをみると
女の子たちが集まっている中心で困った顔をしている朱音ちゃんがいた。
「あれは?」
「朱音のやつ文化祭で男装してからバレンタインの時期は毎年あんなかんじにゃ」
「ああ、あのときの朱音ちゃんかっこよかったですもんね」
文化祭のとき、朱音ちゃんたちの組は男装女装喫茶をした。
割と顔立ちの整った生徒が多かったためか結構な売り上げをたたき出してた。
私は文化祭中は忙しくてろくに見て回ることはできなかったけど。
女子生徒の何人かが男装女装喫茶にオッドアイのイケメンがいると騒いでいたからそれなりに注目の的になっていたようだ。
実際文化祭が始まる前にみた朱音ちゃんは確かにかっこよかった。
でも、女子校でもないのに未だに女子にもてるというのは少し不思議な感じはする。
私にそういうミーハー心?みたいなのがないから理解できないだけなのか。
「毎年食べきれないほどのチョコレートをもらうからたまにこっちにもよこしてくるにゃ」
「でも神羅ちゃんは食べられないんでしょ?」
「食べられないというか食べたら死ぬにゃ!」
チョコレートは犬猫にとって有毒であることは結構有名な話だ
「朱音のことだからわかった上でやってると思うにゃ!」
「でも朱音ちゃんのことだからチョコを受け取るのを断ることもできず本当に処理に困ってるんじゃないでしょうか?」
「・・・・・まあそれもありそうだにゃ 朱音一部の人間以外には割りと優しいからにゃ」
一部の人間 多分来希さんとかかな?
「そういえば神羅ちゃん用に猫用クッキーも作ったんですがいります?」
「にゃ?もらってもいいのかにゃ?」
「もちろんどうぞ!」
「にゃー!バレンタインではじめてもらったにゃ!嬉しいにゃ!ありがとにゃ!」
そういうと神羅は嬉しそうにクッキーの入った袋を咥え、
「ちょっと猫友達に自慢してくるにゃ!」
そういって勢いよくはしりだしていってしまった。
「あ・・・朱音ちゃんの分もついでに渡してもらおうと思ったのに」
さすがに女子生徒かき分けて渡す勇気はない。
でもよく考えたらこれ以上チョコをもらってもきっと困るだけだろうから朱音ちゃんには後日別の何かを渡そうか。
「あと渡してないのは・・・」
そういって再びリストを取り出す。
あと渡してない人は全体の三分の一ほどだけどそれなりの人数いる。
そして全員分のチョコを手作りするのに前日2日ほど費やした。
「作るのも大変だったけど渡すのも中々大変だ・・・」
そのときふと神羅があんなに喜んでくれたことを思い出す。
本来のバレンタインデーとは少しずれてても喜んでくれる人がいる。
それだけでたとえどんなに大変でも来年も再来年も毎年配って皆に喜んでもらいたい。
「よーし!もうちょっとがんばろう!」
そして私は走り出した。
やまなし おちなし いみなし
オリキャラでバレンタイン話を書きたかったのだけどどうしてこうなった!
今回もよそのこの来希特別出演です(名前だけ)
朱音ちゃんの話は結構考えたから今回は亜由美先生メインにしたかったんですけどね・・・?
おかしいな?おかしいな?
あと前回の文化祭話もちょっと入れたけど別に読まなくても問題ないです