Nicotto Town


ひまわり畑を眺める一匹猫


最後の頁

武者修行だと思って始めた、アルバイトでした。
朝と夕方だけ、本業の自転車操業の車屋さんとWワークで働こう。
ドライバーだけのつもりで入った、デイサービスのお仕事。
いつの間にか、介護職員で登用され、社会保険まで付けていただき、月に20日以上の1日9時間勤務。(9時間勤務で残業付かないってアリなん?)
ワシ、いつか殺されると思いながら、時折入る車屋さんのお客の車検を取りながら、何とか息も絶え絶えやっておりました。

色々な事がございました。
私、こう見えて歌がうまいんです。
どの位うまいかと言うと、歌手だったの?と聞かれるくらいうまいんです。

デイでは、毎日1時間、レクの時間があるんです。
レクはゲームだったり、簡単な制作だったり、脳トレだったり、ま、在り来りなものになりがちです。
では、私が歌を披露しましょうとなったんです。
歌に加えて、私はトークも良いらしいんですね。
例えば、何にも言われずにマイク渡されても、平気で1時間くらいはしゃべっちゃう。
笑いあり、涙ありのトークは結構好評だったりしました。
それに歌を交えて、ちょっとしたステージになってました。
レクに困ると、レクの担当が「招きさんお願い」となるわけです。
月に数回、そういったレクを行っていました。
困った時以外にも、もともとの予定として「招き猫のみんなの唄」のレクが出来上がってしまうほどでした。
すると、招きさんが歌うならと、利用予定日を変更してまで来てくださる方も出てくるほど。

しかしある日、事業所の女性所長からお達しと言うかクレームが。
「歌のレクは利用者が参加できないから、月に一度位にしてください。」
あ、そーですか。
そんな言われたら、意地でも歌いませんよ。
ところが、困った時の招き猫の歌になってたもんで、困ったのは同僚スタッフのレク担当。
レクの担当は月単位で交代で割り振られます。
そして利用者さんたちからは
「この前の五木ひろしの歌、また聴きたいわ」
「私の故郷の歌を歌ってくれてありがとう、今度はいつ?」
「最近唄ってくれないのね」
と、直接私が攻められる始末。
唄う事なんて簡単なんです。
その歌で喜んでくれる人がいる。
でも歌えない。
この辛さって、わかっていただけるでしょうか?

こんな事もありました。
事業所には、ま、どこにも一人はいますよね、ダメダメ君がいます。
彼は任された自分のお仕事を全部やれずに帰っちゃう。
明日はお休みなのに、やらずに帰る。
そして報告の無しで休んじゃう。
悪いのは私かも知れません。
彼の尻を一度拭いてあげた事がありました。
ある日の事、彼が担当していた外食レクの前日、当然終わっているはずのメニューなんかが決まっていない人がいる事が判明。
何か当然私が後をやる事になってしまいました。
「また俺かよ」
と呟くと
「責任取るのは私たちなんだからね」
と、一人の生活相談員(事務方)。
その「私たち」という言い方が、あんたたち(介護職)と私たち(事務方)という風に聞こえて、妙に腹が立ちました。
メニューが決まっていないと思われる利用者さんに電話して決めて頂き、メニューのリストを作ってお店にFAX。
終わったのは20時を過ぎておりました。
ワシ、家には94のばぁちゃんと中学生の息子がいる父子家庭なんですけどね。

今年のお正月、年末から年始にかけてずっとお仕事でした。
女性が多い、と言うか私とダメダメ君以外は全部女性スタッフの職場です。
ダメ君はしっかりと正月は休みを取ってやがりました。
私は年末年始は馬車馬でしたよ。
私はドライバー出身なもんで、送迎は必ず運転業務です。
9時間労働の頭とケツは、運転業務となっていました。
車にはドライバーと添乗の2名のスタッフが乗車します。
添乗のスタッフは、送迎が終わって帰りの車中で居眠りする人もいます。
それに対して、私は全く違和感が無いんです。
疲れているのは知っているし、眠ってしまうのは私の運転がうまいからだと、良い方に捉えるんです。
しかしながら、お正月は私も少々疲れがたまっていたのかも知れません。
クルマのバンパーを軽く擦ってしまいました。
おかげで事故報告書を書く始末となりました。
そしてその翌日。
いきなり私はドライバー業務から外されました。
確かにミスをしたのは私ですが、何のフォローも話も無く業務を外されました。
私は2種免許を持つ運転のプロですよ。
これは私が言ってるんじゃなく、我が国の公安委員会が言ってるんです。
その日から、女性スタッフや専任の運転スタッフの添乗に回されました。
利用者さんやそのご家族からも
「あれ?招きさん運転じゃないの?」
と聞かれ、回答に困ってしまいました。
運転専任のおじさんに言われましたよ。
「何か、上からのお達しのようだよ」
私には何の話も無く、いきなり仕事を干す。
こんな仕打ちを受けたのは、人生で初めての事です。

昨年の終わりに、私と一番仲の良い女性スタッフMさんから言われた事がありました。
「私、2月いっぱいで辞める事にしたんだ」
そか、Mさん辞めちゃうのか。
淋しい想いをしました。
引き金は正月の運転禁止です。
もう限界だな。
所長に退職の旨を伝えると、言われました。
「え?Mさんも辞めちゃうから困るんだけど」
慰留したきゃ、もっとちゃんとした理由考えてくださいよ。
そんなん知らんわ。

困った事がありました。
2月28日、最後の業務の日。
いつも私に歌をねだる利用者さんと、握手をさせていただきました。
その方の我慢は、握手をきっかけに崩壊してしまいました。
涙、そして号泣・・・

いろいろあったけれど、この仕事、やってよかったんだよね?
と、妻の位牌ペンダントに話しかけてみました。

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2018/03/27 00:54
しのさん、ようこそおいでくださいました。
多くの人に対応しながらも、個人を尊重しなければならない・・・
本当に難しいと感じます。
よく、ニーズに応えろって言いますが、一つのサービスにニーズが一つじゃ無い時がありますよね?
本人が望む事、Faが望む事、ケアマネが望む事、それぞれが違っていたり。
それに加えてDrの指示なんかもあったりして。
介護職としては、やはり利用者ご本人の意向を大切にしたいんですけどね。
なかなか難しくて、深いお仕事だったりいたします。

と言う訳で、現在は放牧に出されて忙しさからは解放されております。
こちらこそ、よろしくおねがいいたします。
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2018/03/26 19:43
申請どうもありがとうございます。
最初に話しておきますが、当サークルは殆ど活動して
おられない方の集まりで、私もつい最近引き継いだばかりで
右も左もわからないのですけれど、介護は嫌な事ばかりではなく
嬉しいことや、楽しいことも多い職種です。
千差万別の人間が居て、千差万別の介護がある訳ですので
住む場所や職種を超えて、なにかしら情報の共有が出来たら
いいなと考えております。
お仕事忙しくて大変だとは思いますけど、よろしくお願い
いたします。<(_ _)>
アバター
2018/03/26 15:50
夏やん
淋しい想いはしたけど、やってよかったよなぁって思えるようになりましたわ。
なんだか利用者さんから電話があって、事業所関係なしで送別会やるから来いって。
今週末に集まってくれるらしい。

所長なぁ、前所長が急に辞めて本意じゃないのに本部に命じられてなった人だからね。
適正云々じゃなくて、やってくれるだけでもいいって感じなんだろうね。
ま、そのままやらしておく本部に問題があると思う。
前に書いた、アンちゃんがその上司だから致し方ないわな。

本当だねぇ、心の底から「辞めて良かった~」とは思えないのよ。
辞めてからも一抹の寂しさが残っちゃってね。
でもさ、やってみて自分自身に大きな自信が出来たのは確か。
自分のやってみたい事を、人生最後の勝負をやってみようと思っておりやす。
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2018/03/26 15:41
魔女姐さん
適性があるのかどうかは良くわかりません。
私、結構ポカするんでね。
でも、3年間やってみて自信にはなりましたよ。
これならば、自分がやろうとしている事は出来そうだな、みたいな。
ま、人生最後の企業を目指してがんばりますわ。

キアヌ・・・
無事に公立高校に入学できそうであります。
公立・・・涙
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2018/03/26 15:38
らてぃさん
わかってくれていたらいいなぁ、と思います。
一緒に仕事してくれている人は、とても残念がってくれたんですけどね。
所長さんがねぇ・・・。
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2018/03/09 18:07
私はやって良かったと思います
利用者さんに良い思い出をいっぱい残せたでしょうからね

所長さん何というか・・・・
何を見て仕事をなされているのでしょうか
立場的に利用者さんはもちろんの事スタッフのケアもしなければ
いけない立場なはずなのですが
文面を見ても立場相応では無い方かと思いますね

人と人との関わり合いの仕事って去る時は本当に辛いと思います
私も嫌な事いっぱいあるけど、その辛さを味わいたくないから
頑張っています^^

また機会があれば同じような仕事に就く事をお勧めします
だって利用者さんに好評ならばどこにいっても大丈夫だよ^^
アバター
2018/03/05 15:14
仕事自体に適性があっても、職場環境に問題があれば仕方ないね。
経験を生かせる職場は他にもあるだろうけど、それだけしか能が無いわけでもないという
多才な猫のことだから、また何か気持ちが向くことを始めるのもありかも。
人生一度なんだから、色々試せた方がお得でしょ。
ただ、キアヌ君を一人前にするという使命があるから、飛び出す範囲にちょこっと制約あるのは
致し方なしだね。
アバター
2018/03/04 19:57
利用者さんたちは招きさんの価値をわかってくれているのだと思います。
でも、一緒に仕事をする人間がわかってくれないなら辞めるのも仕方ないですね。



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