Nicotto Town



『てるてるにゃんこ』

「雨にならないと良いな」


夕焼けさえ見えない、一面の雲を見上げながら、ヒロコはつぶやきます

明日は、大好きな人と梅の花を見に行く約束の日

壁に吊された、とっておきの服と、テーブルに積み上げたお弁当の材料

その向こう側で、テレビが明日の天気を告げようとしています


「!」

ヒロコは、慌ててテレビを消します

「雨なんていわれたらイヤだもの」

それでも、窓向こうの空は、「明日は雨」と、言っているようでした


「どうしたら良いのかな」

ヒロコは考えます

「てるてる坊主を作れば良いのかな

「でも、てるてる坊主って、まだ降っていない雨にもきくのかしら

「そうだ。猫の形にすれば良いんだわ

「猫はあめが嫌いだから、軒先に吊しておけば、きっと雨を降らないようにしてくれるわ


早速ヒロコは、猫型てるてる坊主を作り始めました

黒い布に(黒猫は魔法が使えそうだし)ティッシュを包んで、首に小さ鈴を付けて、三角布きれで耳を作って、顔を描いたら出来上がり

窓を開け、庇に吊します

「お願い、てるてるにゃんこ。あした天気になんて言いません。曇だって良いんです。寒い北風・・・はちょっとイヤだけど、それでも良いです。雨だけは、降らせないでください」


その夜

ヒロコは、夢をみました

冷たい北風の中、泣いているにゃんこの夢

「寒いよ~。暖かいお家に入りたいよ~」

でも、窓はピタリと閉ざされ、猫の声に耳を貸す人は、誰もいないのです

「寒いよ~。開けてよ~」

猫は、必死に窓ガラスに爪を立てます


ヒロコは、飛び起きると、窓をみました

窓の外では、てるてるにゃんこが風に揺れて、窓ガラスに当たっています

窓を開けると、冷たい湿った風が、部屋の中に吹き込みました

ヒロコは、急いでてるてるにゃんこを回収します

「ごめんね、てるてるにゃんこ。猫は、寒いのも苦手なのにね」


暖房を付け、てるてるにゃんこをお気に入りの服の隣に吊すと、ヒロコは再び眠りにつきました

「家の中からだって、少しは効果があるよね」


次の日は、朝から雨でした

ヒロコは、テーブルに顔を伏せ、泣いています

と、電話が鳴り出しました

ディスプレーには、大好きな人の名前が表示されています

「きっと、中止を告げる電話だわ」

出たくはない

だけど、でない訳にも行きません

うらめしげにてるてるにゃんこをみると、涙でゆがんでいるためか

「大丈夫だよ」

そう微笑んでいるようにえました


「もしもし・・・

「うん、しょうがない・・・よね・・・え?

「あなたの家に?

「お部屋でお花見?

「近所の公園の梅の木が見える?

「・・・・・・

「は、はい!行きます!


ヒロコは大慌てでお弁当を作り、お気に入りの服に着替え

「一緒に行こ」

てるてるにゃんこをつれて、しあわせな足取りで家を出るのでした



「夢をみたんだ。家の窓から見える公園で、雨の中、君と黒い猫が空を見上げて鳴いている夢」




おしまい

(#^.^#)













アバター
2018/03/08 10:57
えりすさん

いつもありがとう♪

てるてるかへさん
運動会シーズンには、大活躍しそうよね

(#^.^#)
アバター
2018/03/05 16:15
今日は~♪

可愛いお話ですね~♪
読んでいて~ほっこりしました^^
「てるてるにゃんこ」も可愛くて(たぶん)良いな~^^
作ってみたいけど…外につるすと可愛そうだね^^

外に強いのは、ワンちゃんだから
「てるてるわんこ」はどうかな~^^
あっそっか…
ワンコは、雪が好きだから…雪になるか…(><)

だったら「カヘル」さん……
…もダメかぁ~
雨降るよねw
逆に~雨が降って欲しい時は、「カヘル」さんだよね^^





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