京都に一人
- カテゴリ:小説/詩
- 2018/05/15 10:56:53
あの時あなたと行った
京都の寺院を訪ねてみた
今は人気の少ない時で
しっとりと時が過ぎていく
あの時に浸りながら
白い砂の枯山水
縁側に座ってじっと目をつぶる
そこでは何も見るものはなく
そして耳に入るものもなく
あなたと私だけがそこにいる
いつまでも座っていたい
そんな気分の中で
胸を通り過ぎていくものは何
あの日も今のように晴れ渡っていた
青い空に雲が一つ
寺院を出れば不慣れな京都の町
道に運び出された陶器の数々
座り込んでいいもの探し
あの時もそうだった
そう 二人で探したわね
何で別れたのか
誰も知る者はいない
私達の心の中
秘められた思いの数々
悲しみというリボンをかけて
好きだった
愛していた
でも別れた
そして泣いた
やがて涙も乾いた
ひとりでもここに来られたのよ
もうそんなことできないと思ったのに
少し大人になったんだわ
あの時よりほんの少しだけ
だからもう泣かないわ
泣かなくても思い出は
心を包んで離そうとはしない
それでもいいと思った
階段の一歩として
やがて霞んでいくのかもしれない
もういい
なにもかも
時が経った
何もかもを閉じ込め
そして京都の町に埋めていく